先日、ワンダーコアを購入した我が妻。
どうするのかと静観していたら、ずっと梱包されたまま。
そしてようやく、箱から出され組み立てられた。
だが、まだ使用された形跡はない。
これが妻の性格である。
妻はこういう場合、「完璧主義」である。使用前にはマニュアルを読み、最近では大概付属されているDVDを見る。そしてその上で、初めて使うのである。これが私の場合だと、到着した瞬間に梱包を解き、すぐに組み立てて使い始める。もちろん、見よう見まね。取りあえず使ってみるのである。
これが私個人のものであれば、問題はない。
ただし、家族で使うものだと、しばしば軋轢となる。
すぐに使おうとする私に対し、妻は「マニュアルを読め」と迫ってくるのである。
もちろん、それが正しいスタンスだとは思うが、いちいちマニュアルなど読まなくてもわかるものはわかる。ただ、それは妻にとっては許されざる態度であるらしい。
何ごとにせよ、マニュアルを読んで理解してからやるというのは大事なこと。それを否定するつもりはない。ただ、「準備が整ってから」と言っていると、タイミングを逃すことしばしばである。ビジネスの現場では、「構え、撃て、狙え」のスタンスが重要となることも多い。今回のような商品は、到着した時がそれを使いたいという気持ちが最も高い時。そいういタイミングは大事である。
子供の頃、数多読んだ松本零士のマンガは私の人格形成に大きな影響を与えたが、その中のある物語を思い出す。主人公の若者は大きな夢を抱き(松本零士のマンガの主人公は大概大きな夢を持った若者だ)、宇宙船を自力で製作し、星の海へ飛び出す。しかし、いかんせん、設計が粗雑なポンコツで、ある惑星に不時着する。そこで、同じような夢を抱く若者と知り合う。
若者は長年研究室で宇宙船の設計をしていて、主人公のボロ宇宙船をバカにして鼻で笑う。そしていつか完璧な宇宙船が完成したら、自分も宇宙に出るのだと言う。しかし、主人公は言い返す。俺の船は、ボロかもしれないが、とにかくここまで飛んできた。お前の設計する宇宙船は立派かもしれないが、どれも1センチも飛んでいないと。お前の船の完成がいつになるのか知らないが、俺はその間ずっと宇宙を旅していくと。何のマンガだか忘れてしまったが、今思い出しても示唆に富むマンガだと思う。
アルバイトなどで、仕事の前にマニュアルをきちんと読むことは大事なことだろう。何でもかんでもマニュアルを読んでいる暇があったら実践すべし、などと言うつもりはない。だけど、四の五の言っていてなかなか実行しないというのも、ビジネスの現場ではありがちである。
とにかくやってみる。すると、どこがわかり難いとか、使いにくいとかがわかる。その時、初めてその部分のマニュアルを読んでみる。そうすると、少なくともその部分は、「問題意識」を持って読むから、マニュアルも頭に沁み込んでくるというものである。
まあ、あれこれと理屈をつけてみたが、おおよそ家電製品なんかは、我が家ではすべてこんな調子である。妻のやり方を否定するつもりはない。ただお互いそういう性分なのだから、認め合えばいいと思うだけである。さて、そうしてしっかりマニュアルを理解したワンダーコアである。あとはしっかり使用してもらいたいと余計なお世話ながら思うのである・・・
PS
件のマンガの続きである。
意見が対立した主人公と若者研究者だが、主人公の鋭い指摘に若者研究者は項垂れて語る。自分は研究期間が長過ぎて、もうお前のような無茶ができない体なんだよと寂しく語る。だからそんな自分でも航海に出られる宇宙船を設計しないといけないし、それにはまだまだ時間がかかると。
そして主人公に自分の設計したエンジンを渡す。
これでせめてエンジンだけでもまともになる、と。
そして頑張って星の海を渡れ、と励ます。
男の夢と友情と、松本零士のマンガは今思い出しても胸が熱くなるのである・・・