「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」 |
幸い、この週末は毎年恒例の桃狩りに行く予定を組んであった。調べてみると、いつも行くイチフル農園から山梨県立美術館はわりと近い位置にある。もう娘も桃狩りのあとは近くの公園で水遊びというわけにもいかない。桃狩りの後、どうするかと思っていたのでちょうど良かった。それにいつもほうとうを食べる「小作」の支店も美術館の目の前にあると言う事もあり、スケジュールが決まったのである。
山梨県立美術館 |
パリ近郊のバルビゾン村という農村に住み、生涯にわたって働く農夫たちを描いたミレー。「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」を始めとして、有名な「種をまく人」や「落ち穂拾い」の「夏」版などが展示されていた。静かな館内に展示されているミレーの作品を前にじっとたたずむ娘。
小学校2年の息子はさすがに退屈そうで、「冬、凍えるキューピッド」の前で、そこに描かれたキューピッドを見て、「おちんちん!」と喜んでいる有り様だった。宿題では好きな絵を3点選んでレポートを書くことになっているが、娘は「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」、「冬、凍えるキューピッド」とモンティセリの婦人像を選んでいた。
冬、凍えるキューピッド |
モンティセリ「婦人の肖像」 |
絵を見ていると、本当に飽きない。いつまででも眺めていられる気がするから不思議である。なぜかと問われても答える事は難しい。もちろん、当時の貧しいフランスの農民たちの暮らしぶりが珍しいという事あるだろうが、それだけではない。才能ある画家によって切り取られた一瞬、一瞬に目が行くとでも言えるのだろうか。それはある面で写真にも通じているのかもしれないと思う。
自分でも絵を描きたいとその昔思った。しかし、どう考えてみても自分にはその才能がない。ならば学ぼうと高校に入った時に決意。美術部の門を叩いたが、同時に入ったラグビー部の練習が忙しくて、一度も参加しないまま幽霊部員にもなれなかった。いまでもその気持ちがなくなったわけでもなく、「いつかそのうちに」と思う気持ちはまだ残っている。
「いつかそのうち」という日は永遠にやってこないとわかっているが、子供の教育・教養という意味では、本物を見せるという事は必要なのかもしれない、と改めて思う。自分の趣味はともかくとして、また機会を作って行くのも良いかもしれないと思うのである・・・
晩鐘 |
落ち穂拾い |
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