政権誕生以来、アベノミクスで世の中は湧きたっている。政権支持率も高く、民主党の反動だけでなく、安部総理自身2度目の正直ともいうべきか、船出以来順調に航海を続けている。そして憲法改正にも言及し、どうやら夏の参院選のテーマの1つにもなってきそうである。
もともと個人的には憲法改正論者だし、それはそれで悪くない。何といっても第9条は早く第2項を削除すべきだし、専門家によると89条なんかは私立大学への助成金など違憲になりそうであるらしいし、その他にもあるかもしれないし、一度現代にあった形に修正すべきである。
だが、安倍さんの掲げている憲法改正のターゲットは第96条。最初は何かわからなかったが、憲法改正の要件を定めた条項だ。「議員の2/3以上の賛成」が必要とされるところを「1/2」に変えるのだとか。いきなり“本丸”第9条にかかるよりも、まずは外堀から埋める「冬の陣」作戦なのだろうか。たぶん、2/3を取るという事が、相当ハードだと考えているのだろう。
世論も今では憲法改正賛成派が過半数を越えていると言われているから、国会さえ通せば「イケル」と考えているのだろう。まあこの程度は良いんじゃないかと思う人も多いだろうし、最後は国民投票というハードルがあるし、問題は多くはなさそうな気がする。
共産党系のように、「一文字でも変えるのはダメ」という雰囲気の人は認めないだろうが、これで絶対反対の野党を除き、ゆるやかな野党を仲間に入れて2/3をクリアしようというのだろう。「将を射んとすれば馬より」といったところだ。
それはそれそれで理解はできるのだが、どうも個人的に諸手を挙げて賛成という気分にはなれない。確かに、家康は大阪冬の陣でうまく立ち回って外堀を埋めさせ、そして夏の陣で無敵の大阪城を落とした。そのやり方は、正面突破方式よりも、被害も少なく効率的に豊臣家を滅ぼせたのかもしれない。しかし、どうせなら錦の御旗を掲げ、堂々と正面突破してほしいものだと個人的には思う。
そもそもであるが、ここまで順調に来て今やるべき事が憲法改正なのだろうか。私が総理大臣だったら、まずは「国会議員削減」と「公務員削減」だ。「0増5減」なんてお茶を濁している場合ではない。このテーマは「嘘つき民主党」が堂々と掲げてやらなかった「人気政策」だ。今こそ100議席ぐらい減らすと掲げて衆参ダブル選挙に打って出るだろう。「公務員削減」とセットにして、「自民党は民主党と違って言った事はやる」「いつやるか、今でしょ!」とやるのだ。
消費税を上げたって国家財政は改善しないし、崖に向かって突っ走っている状況には変わりない。国民誰もがやれと思っていて、誰もやらなかった事をやると堂々と掲げたら、それは国民は支持するだろう。選挙対策なんて何もしなくても圧勝できるはずだ。第96条なんて言う前に、2/3の議席確保だって夢ではないだろう。そうしたら、ゆっくりコーヒーを飲みながら憲法改正議論ができるはずだ。
民主党は、小沢さんが本来党を支えなければならない時に、自我を優先して崩壊の道を辿った。チームが勝たなければならない時に、個人記録を優先したようなものだ。荒れ狂う波間に漂う船中で、船長の座を争って民主党は坂を転げ落ちた。今自民党は順風満帆で追い風が吹いている。ならば先を急ぐ前に、もっと帆を広く張る事が、結局は早く遠くへ行く事に繋がると思うのは私だけだろうか。
なんとももどかしく感じるのである・・・
【本日の読書】
2013年5月15日水曜日
安倍政権に思う
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