2026年5月10日日曜日

ストレスと生きる

“なぜ生きるか”を持つ者は、ほとんどあらゆる“どう生きるか”に耐える
ニーチェ
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 最近、ストレスを多く感じている。その正体はなんとも言えない不安だったり不満だったりする。なぜ人はストレスを感じるのであろうかと思う。逆に言えばストレスを感じない時とはどんな時なのか。概して楽しい時にはストレスを感じない。ストレスを感じる時は楽しくない時と言える。どんな時に楽しくないのか。よくよく考えてみると、それは「物事が自分の思い通りに行かない時」と言えるのではないかと思う。ストレスとは、物事が思い通りに行かないことに対するもどかしい感情と言えると思う。

 ストレスの代名詞とも言えそうなのは「仕事」である。だいたい、人は仕事で疲れが溜まり、ストレスを抱えるのではないかと思う。それはなぜかと言えば、「思い通りに行かないから」ではないかと思う。自分が過去ストレスを感じた時を思い起こしてみても、そんな時がほとんどであった。求められる成果がなかなか上がらない。上司からはそれを責められる。わかっちゃあいるけど、そんなに簡単にできたら苦労はしない。言うだけなら誰でもできる。上司ならどうしたら良いのか示したらどうなのか、自分でやってみれば良いじゃないか。そんな思いが交差する。

 逆に思い通りに行っていればストレスなど微塵も感じない。上司も何も言わないし、ボーナスもアップするし言うことはない。「仕事が楽しい」と思えるのもそんなノーストレスの状況だからである。やるべき事が目の前に山積し、成果を上げなければならないというプレッシャーがかかる状況下では、サクサクこなして成果を上げられる見通しがあるのでなければストレスが過大にのしかかるかもしれない。以前、外資系の金融機関の人と一緒に働いていたが、2月に次期の契約が更新されるか否かでピリピリしていたのを思い出す。

 最近、仕事ではなかなか思うように行かないことが増えてきている。自分1人だけでやれるものであればいいが、すべて1人でやるわけにも行かない。社長の意向で他の人に任されたりすることもあるし、社長が自らやる事になったこともある。それが元々自分がやり始めたことであれば尚更で、ついつい口出ししたくなる。それをグッと堪えるのもなかなか精神的に大変である。しかし、世の中は他人と関わり合って生きていくものであるし、仕事はなおさらである。自分の考え方と他人のそれと違うことはよくある事だし、そこで自分が折れれば思い通りに行かない事の出来上がりである。

 家の中でもストレスはある。老親と同居して半年。記憶力も衰えた老人の行動はなかなか忍耐無くしてはいられない。我々なら当たり前にできる事が、だんだんとできなくなっていく。家の中では「ゴミ箱にゴミを捨てる」という簡単なことすらできず、そこいらに置いたまま忘れてしまう。洗濯物も、洗濯したまま忘れてしまう。せっかく昼食に用意したものを食べず他のものを食べて私の献立計画を蹂躙する。文句を言えばお互いに気分は悪いし、言わなければストレスが溜まる。それでも結局、言わずに黙っている方を選択する。それが波風を立てない唯一の方法である。

 表面的に波風は立たないが、心の中は穏やかではない。ストレスになるのを防ぐには、ひたすら心の中を平静に保つしかない。年初に「鏡心」を意識しようと誓ったが、鏡のように心を穏やかに保つのである。うまく行かなくてもそれが当たり前。世の中のことはみな思い通りに行かないもの。そう思って心を穏やかに保つしかない。結局、ストレスとは「外で起きている出来事」そのものではなく、「それをコントロールしようとしてできない自分の内側」の問題だと言えるかもしれない。思い通りにならないという事実とそれも仕方がないと受け止める心である。

 例えば自分が新たに採用されて入社したばかりと想像すると、自分に任されない仕事でもそういうものだと思えば心に波風は立たない。そういう想像はよくやっている。親も3歳の子供だと想像すると腹も立たない。そうして心を穏やかに保つ事がストレスをストレスと感じないでやり過ごせる秘訣なのかもしれない。周りの人は私がストレスを感じている事などわからない。それは心の中の問題であるから。であれば心の中で解決するしかない。明日からまた新しい週が始まる。心穏やかに「鏡心」を意識して過ごしたいと思うのである・・・




【今週の読書】
 全体主義の起原2 新版――帝国主義 全体主義の起原 新版 - ハンナ・アーレント, 大島通義, 大島かおり 人を動かす 改訂文庫版 - D・カーネギー, 山口 博 逆説の日本史: 大正暗雲編 対華二十一箇条と尼港事件の謎 (29) - 井沢 元彦 豊饒の海 第二巻 奔馬 (ほんば) - 三島 由紀夫 万物の黎明~人類史を根本からくつがえす~ - デヴィッド・グレーバー, デヴィッド・ウェングロウ, 酒井 隆史





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