札幌へ出張に行った。私の主担当は財務であるが、人事も担当している。採用も大きなミッションの1つなのである。我が社のような中小企業は、新卒採用ではかなり不利である。知名度は圧倒的に劣り、首都圏の大学では(ゼロというわけではないが)コンスタントな採用はなかなか難しい。勢い、採用は地方中心になる。今回は札幌にある学校を定例訪問し、ついでに内定者との内定式(という名の懇親会)に札幌を訪れたというわけである。時に札幌は雪まつりの真っ最中。インバウンドもあって飛行機とホテルの予約を心配していたが(値段はちょっと高かったが)、何とか確保して札幌入りした次第である。
出張はどうしても効率が悪い。目的(面談)に比して移動時間が多すぎる。今回も先方との面談は約1時間。そのために丸2日間(まぁ、1日は祭日だったので実質1日とも言える)潰れた。仕方がないが、効率云々よりも成果に目を向けるようにするしかない。この時期の面談はさり気なく重要で、2026年の採用戦線への参戦根回しというところがある。それで密かに便宜を図ってくれたりする(例えば会社説明会の日程について優先的に第一希望を通してくれる)のでなおさらである。中小企業はそういう「寝技」も駆使して大手や同業他社に対抗していかないといけないのである。
出張は仕事であって遊びではない。当たり前であるが、以前銀行員時代、「ついでに仕事をする」ために出張する人たちを目の当たりにしていたのでよけいに意識している。その人たちは関連会社に片道切符で出向し、半分銀行員人生を終えたという意識だったからよけいにだったのかもしれないが、「どこに行く?」「何を食べる?」という話ばかりしていた。上に立つ立場の人間がそうだと、下の者はモチベーションが下がる。「ああいう上司になりたくない」というお手本としては良かったかもしれないが、大企業ゆえに遊びの出張費用も問題にはならなかったのだろう。
もちろん、ガチガチのお堅い頭で考えているわけでもない。やる事をきちんとやって、その上で余裕のできた時間で楽しむのは悪くないと思う。今回は、先方の都合でアポは午後も遅い時間になった。午前中に千歳空港に着き、市内に入ったのは昼前。少しゆとりもあったので、ラーメンを食べて雪まつりも見て行こうと考えた。ところが、雪まつりという北海道の観光の目玉ともいう時期。インバウンドと相まって、狙っていた札幌駅近くのラーメン屋は見た事のない長蛇の列。おいしいものは並んで食べるという関西文化に慣らされた私でもさすがに断念した。ラーメンはまたの機会にする事にした。
腹ごしらえだけして向かったのは大通り公園。雪まつり会場となっている場所である。休日の谷間の平日だったためか、覚悟していたほど混んではいない。ニュースで見た事のある雪像がさっそく出迎えてくれる。屋台も出ていて賑やかである。しかし、何か不思議な違和感がある。それは「こんなものなのか」という感覚であった。有名な観光スポットである札幌の時計台は「日本三大がっかり観光地」としても有名であるが、雪まつりにも同じものを感じた。札幌の雪まつりは、青森のねぶた祭り、仙台の七夕祭りと並んで個人的に行ってみたい日本の祭りの1つだったが、「こんなものなのか」であった。
確かに並んでいる雪像の様子はニュースで見た通りなのであったが、イメージはもっと圧倒的に大きなものであったが、実際はそれほど大きくない。もちろん、「北海道庁旧庁舎」などの迫力あるものもあったし、自衛隊の力作もあったが、それはほんの一部。大多数が背丈より少し大きい程度の雪像群で、それはそれでよくできているなと感心したが、そこまでである。何となくそれは近所の神社の夏祭りのような感覚であった。事前の期待が大きすぎたのかもしれない。仕事スタイルで行ったためか、革靴は足元も心もとない。それでもせっかくだからと雪像を1つ1つ見ていたら、見事に滑って転んでしまった。
出張時にはいつも会社と家族に土産を買う。会社はみんなで食べられるお菓子。家族はリクエストに応じるパターンが多い。以前は、「赤いサイロ」やかま栄のかまぼこだったが、今回は「生ノースマン」と「ほたてのスープ」であった。ともに空港で簡単に買えるのがありがたい。「赤いサイロ」は人気が凄くて買うのに苦労したので、簡単に買えるというのは重要なありがたい要素である。それにしてもよく次から次へと見つけてくるなと感心する。アンテナの張り方が違うのだろうが、自分ももう少し各地の名産品に興味を持ってもいいかもしれないと思ってみたりした。
夜は内定者との懇親会。他の企業は内定式なるものをやっているところがあるらしいが、我が社は実施せず。その代わりの懇親会である。4月から東京での新生活を控え、期待に溢れている感じがした。初々しくて好ましい感じを受けたのである。下手に格式ばった内定式よりもいいのではないかとこのスタイルを続けている。春から一緒に働ける事を頼もしく感じた次第である。学生時代、北海道へラグビー部の仲間と旅をした。その時は、最後の夜はすすきので大人の遊びをしたが、さすがに今はもう面倒でまっすぐホテルに帰って映画を観る方を選んだが、この過ごし方も出張時の楽しみの一つになっている。
これから、沖縄、新潟、鹿児島、そして再び札幌と採用活動の出張が続く。ビジネスは結果が大事なので、何より結果を求めたいと思う。「ついでに仕事をする」出張なら行きたくないというのが正直なところ。「成果を挙げたついでに」その土地の食べ物やお土産を買うことを楽しみたいと思う。採用活動に終わりはなく、成果とともにその旅を楽しみたいと思うのである・・・


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