2024年6月16日日曜日

都知事選雑感2024

 東京都知事選が来月に迫った。現時点で立候補者は54名だという。凄いなと改めて思う。新聞等のメディアでは小池さんと蓮舫さんとの対決が話題になっているが、他の候補については田母神元航空幕僚長だとか前安芸高田市長について目にするぐらいだったから、この機会に他の候補についても改めて見てみる。パッと目につくのはNHK党だろうか。なんと19人も名を連ねている。党としての後押しにしては分散し過ぎているし、党としての戦略ではなく、たまたま我も我もと立候補したのだろうとは思う。

 ドクター中松が今回も立候補しているのは好ましく思う。この人はすでに名物的な存在になっており、他の泡沫候補とは一緒にするべきではないだろう。当選の確率などほぼないに等しいにも関わらず、これだけの長い期間、諦めもせずに立候補し続ける姿勢はある意味立派なものだと思う。タレントの清水国明の名前もあるが、最近は何をしているのだろう、なぜ突然立候補なのだろうと不思議に思うが、このあたりまでが真面目に検討してもいい範囲なのだろうと思う。

 そのほかは記念立候補なのだろうか。「つばさの党」などは党首が選挙妨害で逮捕されたはずであるが、その反省の色もなくの立候補である。あきれるというよりもどういう判断根拠なのかと逆に興味深い。「ポーカー党」はその名の通りポーカーが好きなのだろうか。都政進出もギャンブルなのかと興味深い。「カワイイ私の政見放送を見てね合同会社」の代表社員は、どれだけカワイイのか見てみようかと思わせてくれる。PVを稼ぐための何かのPRなのだとしたら成功するのかもしれない。 

 「ネオ幕府アキノリ党革命家」のアキノリ将軍未満と称する候補者は名前を見るだけで楽しくなる。「将軍未満」とは、将軍ではないのだろう。将軍はいるのかとちょっと気になる。「忠臣蔵義士新党」「覇王党」「核融合党」など勇ましい名前の党は普段何をしているのだろう。「ラブ&ピース党」はその名の通り平和を愛する人たちが集まっているのだろうか。「コンサルタント会社社長」「建設会社代表取締役社長」などの肩書きの人は、もしかしたら自分の事業の宣伝のためかもしれない。

 たぶん、本気で都知事を目指しているのは、小池さんと蓮舫さんと他数名だけだろうと思う。実際に当選しなくても話題や宣伝にはなるから、自分の名前を広くPRしたいという考えだったら、それはかなり効率のいい宣伝なのかもしれない。YouTuber(「元」も含めてではあるが・・・)が立候補しているのもアクセス稼ぎが狙いかもしれない。いずれにせよ、供託金が没収されるのを覚悟で立候補するわけであるから、それに見合うPRができればいいと考えているのだろう。

 こうした泡沫候補がいいのか悪いのかは、真面目に論ずるほどの事でもないのだろうと思う。泡沫候補が立候補できるという事は、それだけ世の中が平和であるという事だし、何より希望すればどんな人でも立候補できるという民主主義の制度がきちんと機能しているという事に他ならない。世界には対立候補が暗殺されたり、そもそも立候補すらできなかったりする国もある中で、希望すれば54人もの人が自由に立候補できる我が国の政治制度は実に素晴らしいと言える(あくまでも「制度は」であるが)。

 投票日は7月7日。正直言って、小池さんにも蓮舫さんにも投票したいとは思わない私にとって、誰に投票するかは非常に難しいところである。できれば純粋に我々都民のことを考えて都政を引っ張ってくれる人がいいと思うのだが、そういう人を見分ける方法がわからないところが残念なところである。まだ投票日までには時間がある。私も真面目に候補者のことを考えてみたいと思う。まずは「カワイイ私の政見放送」を見て、泡沫候補の人たちの主張も楽しみながら、考えたいと思うのである・・・



【今週の読書】
思考の技術論: 自分の頭で「正しく考える」 - 鹿島 茂  考える葦 - 平野啓一郎 地図と拳 (集英社文芸単行本) - 小川哲





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