詐欺被害に遭った我が弟。騙した相手に対してどうするかという問題もあるが、足元では火を吹いている。後先構わず借りてお金を渡したはいいが、気がつけば月々の返済額は給料の額を超えている。もうまともには返せない状況で、何らかの法的手続きを取るか、借金を踏み倒すしかない。踏み倒すと言っても、相手も金融機関だから自宅や給料を差し押さえるという手段に出てこられたら厄介である。そこでまずは弁護士に相談するべしとなり、付き添って無料相談に行ってきた。
そこは某市営の法律相談センター。持ち回り輪番で弁護士が出張してきて相談に乗ってくれる。相談した弁護士は話を聞くなり、「自己破産」という言葉を持ち出してきた。最初に「自宅を残したい」と言っているにも関わらずの言葉に、「これはハズレたかな」と心の中で思う。やむなく、事前に調べておいた「民事再生」を持ち出すと、そちらの方に説明が及ぶ。わかりにくい「任意整理」との違いはきちんと説明してくれたから、とりあえずはわかっているのだろうと考えた(弁護士だからわかっているのは当たり前なのだが)。
弁護士と言えども得意分野はあるだろうと思う。そう思って専門を聞いてみると、「家庭内のこと」とのこと。一応、債務問題も入るのだろうが、口ぶりからすると離婚などの方面ではないかと感じる。ただ、民事再生の具体的な進め方(相手の範囲をどうするか、友人も含めるのか等)に関しては歯切れが悪く、予定の30分もそこで過ぎてしまった。終了間際に名刺を出してきて、良ければ受託するとの申し出をいただいたが、実際の依頼は別の弁護士に頼むことにした。私は弁護士とは仕事柄いろいろと付き合いもあって何となく頼りなさを感じたその弁護士さんだが、まったく縁のない弟も頼むのは別の人にするべきだと感じたと言う。
想像してみるに、無料相談だから事務所でもまだ経験の浅い弁護士に白羽の矢が立つのではないだろうか。弁護士も司法試験に受かれば一人前というわけではなく、実践経験を通じて腕を磨いていくのだろうと思う。ある程度の方向性を考えるのにはいいと思うが、実際に依頼するのは、やはりもう少ししっかりした人がいいと考えた。一般的に弁護士は皆歯切れが悪い。それはいろいろな可能性がある中で、はっきりと断定しにくいという事情もあるだろう。それに六法全書がすべて頭に入っているわけだはない。判例や法令を紐解いてみないと答えられないということもあるだろう。それも無理のないことだと思う。
しかしながら、そうは言っても断定的に話してくれる弁護士もいる。かつて一緒に仕事をした外資系金融機関の専属弁護士さんは、こちらの相談に対しては常に断言してくれる人だった。年下だったが、ニューヨーク州の弁護士資格も持っているという方で、それまでお会いしたどんな弁護士さんよりも優秀だと感じた。その方は別格だったが、私の知人もある程度断定的に答えてくれる。そういう人はやはり安心感がある。何件も経験しているような専門分野だとそういう事も可能だろうと思う。故に弁護士に依頼する時はなるべくその分野の経験を積んだ人がいいと思う。
無料相談の弁護士さんは、帰り際に名刺を渡しながら、良ければ連絡をくれと言ってくれた。事務所には何人かの弁護士がいるから指名してくれと。もしかしたら、自分の顧客開拓も兼ねての無料相談なのかとも思った。弁護士事務所に所属しているからと言って、口を開けていればお客さんを回してくれるというのではないのかもしれない。士業は基本的に個人事業なので、事務所の看板だけ使っているのかもしれない。そんなことをつらつらと考えての帰り道であった。
考えてみれば弁護士もいろいろである。私は仕事では会社の総務に在籍しているので、どうしても会社法や労働法などの問題に直面したりする。中小企業ゆえに顧問弁護士などいないが、やっぱり契約した方がいいなと感じている。そんな企業の弁護士は、離婚問題を扱うのとはわけが違うので、やはり専門性が必要だろうと思う。医者だって内科、外科といろいろと分かれているわけであるから、弁護士だってそうだろうと思う。ただ、医者と違って看板にはっきり書いているわけではないところがわかりにくいところである。
かつて弁護士を目指して大学は法学部を選んだが、法律は自分に向いていないと悟って方向転換した。その選択は間違っていなかったと思う。今でも弁護士になりたいとは思わないが、弁護士とおつき合いせずにやっていくのも難しい。元勤務先の社長との法廷バトル第三弾もまもなく始まる。こちらはアドバイスだけで、委任はせずに自分1人で法廷に立つつもりである。そうは言っても核心部分はやっぱり教えてもらわないとできないので、弁護士さんなしではとてもやれない。
幸い、友人弁護士には助けられている。土曜日も働いているほど忙しい様子なので弟の面倒を見てもらうのは憚られるところ。何とか自力でいい弁護士さんを探してほしいと思うのである・・・
LEANDRO AGUILARによるPixabayからの画像 |
【本日の読書】
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