(ニューヨーク、2016年12月23日) - 国連安全保障理事会が2016年12月23日、南スーダンに武器の禁輸と同国のリーダーたち3人に渡航禁止および資産凍結を科した決議を否決。これを受けて7つのNGOが共同で本日、深い遺憾の意を表明した。採択には9票が必要だったが、8カ国が棄権したため、賛成が7票とこれに届かず否決となった。
Huffingtonpost
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先日のニュースを見てちょっと驚いてしまった。日本政府が南スーダンに対する国連の武器禁輸決議案に棄権票を投じ、その結果、決議案が否決されてしまったというものである。日本政府は反対したわけではないが、棄権したことにより賛成票が足りずに否決となったというのである。まぁ仮に賛成したところで、賛成票は8票でありもう1票足りないわけであるから、日本だけの責任とは言い難いとは思う。
しかしながら、この手の決議案では反対か棄権に回る中ロなどと比べ、米国の同盟国である日本は賛成票としてカウントされていたのであろう。それなのに棄権に回ったため、米国からも批判されている。意外な決定だが、日本政府の見解としては、賛成に回ることで南スーダン政府を刺激し結果として現地に派遣している自衛隊の安全を脅かしたくないというもののようである。
さて、武器輸出となれば平和を国是とする我が国のスタンスからすれば、当然賛成してしかるべきところだろうが、あえて棄権(実質的な反対)したというところにどうしても注目してしまう。日本政府の見解を見れば、なるほどそれはそれで筋は通っていると思う。何より政府には一般人よりも情報量が多いだろうし、その中から判断したということであるから、正しいのではないかと推察するぐらいである。
しかしそもそもであるが、武器輸出を禁止しようというからには、南スーダンに「輸出している国がある」ということである。南スーダン政府は、内戦に勝利するために武器を必要としているわけであり、そして南スーダンに武器を輸出している国があるはずである。あるいは武器商人なのかもしれないが、武器商人とて武器を製造しているわけではないだろうから、大本の生産国があるはずである。その国がどこなのかはわからないが、興味深いところである。
1. アメリカ 10,484百万ドル
2. ロシア 5,483百万ドル
3. ドイツ 2,049百万ドル
4. フランス 2,013百万ドル
5. 中国 1,966百万ドル
となっている。逆に輸入国の方を見てみると、南スーダンは66位となっている。統計には107カ国出ているが、その中での66位である。どこの国が南スーダンに輸出しているのかがわかれば、もっと色々な面が見えてくるのかもしれない。
輸出国は、当然南スーダンに武器を輸出すればそれが内戦に使用されるとわかっているわけである。もちろん、売る側には売る側の正当な根拠があるのだろう。だが、輸入国のリストが107カ国であるのに対し、輸出国のそれは40カ国。つまり武器を作って売れる国は、「それなりの国力」があるところであるわけで、正当な根拠と言っても「食うため」でないことは確かであろう。
武器の禁輸も南スーダンだけに限らず、本来一切合切すべて禁止とするのが理想だろう。大規模な戦力を有するISだって、一体どこから武器を仕入れているのであろうか。本来なら「全面禁止」が理想ではあるが、それは現実的ではないからせめて「限定禁止」なのだろう。さらに言えば、国連決議は効果があるのだろうかという疑問もある。効果がないなら、「南スーダン政府を刺激しない」という選択もおかしくはないと思う。
武器の禁輸決議に反対したから即「けしからん」というのではなく、ちょっと立ち止まって色々と考えてみたのである・・・
武器の禁輸決議に反対したから即「けしからん」というのではなく、ちょっと立ち止まって色々と考えてみたのである・・・
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