昨日、東京都宅地建物取引業協会の「創立50周年記念講演」に行ってきた。
普通なら、この手の「退屈そうな」講演など見向きもしないのだが、講演者に「櫻井よしこ」の名前を見て、行く気になったのである。
櫻井よしこといえば、保守派の論客。
「反安倍」の人たちからみれば、親の仇ぐらいに映る人かもしれない。
その言動は、新聞やテレビではおなじみであるが、やっぱりナマで聞いてみたいと思ったのが、最大の理由である。
講演テーマは、「日本よ、のびやかなれ」。
肝心の内容はといえば、やはり期待通りの内容であった。
まずは聴衆に「世界地図を思い浮かべてくれ」と語りかける。
東に(太平洋を挟んで入るが)アメリカ、西に中国。
世界経済のNo.1と2に我が国は挟まれている。
アメリカがどう動くか、中国がどう動くかに、我が国は影響を受ける。
なかなかの出だし。
AIIBにイギリスが真っ先に参加し、欧州が雪崩を打ってそれに続き、人民元が「基軸通貨」になる動きが始まっている。
一方アメリカは、2013年9月10日、シリア内戦への参加を否定し、「世界の警察官」としての立場を放棄。
こうした変化は、アメリカの専門家によると、日本にとって「元寇以来の歴史的危機」だという。
この日を境に、ロシアはクリミアを獲得し、中国は南沙諸島の埋め立てを加速。
世界の非難を物ともせず、中国は未だに埋め立てを行っているが、「南シナ海で起こることは東シナ海でも起こる」とする。
ロンドンに人民元の取引センターを設立する動きも進行中で、イギリスは中国に取り込まれつつある。
時代は、「パックス・アメリカーナ」から「パックス・シニカ」に向かっているとする。
230万人を擁する中国軍は、30万人の人員削減を発表し、ノー天気な朝日新聞はこれを軍縮の動きと歓迎していたが、もはや不要な陸軍の人員を削減しただけで、軍事費は伸び続けている。
陸海空軍、特殊部隊、サイバー部隊の統合運用が発表され、これはアメリカにとっても日本にとっても大きな脅威だという。
最後は「憲法改正が必要」と主張し、会場の拍手喝采を浴びていた。
いろいろとニュースだけではわからない話も聞けて、わざわざ参加した甲斐があった。
アメリカ=正義、ロシア=悪と必要以上に強調していた感があったが、どう捉えるかは別として、事実は事実だろう。
そうした事実を聞けたことは大きかった。
特に「日本だけの価値観」では世界でやっていけないという話は、印象的だ。
日本人はとかく「みんな仲良く」という精神で考える。
それは非常にいいことだが、世界の国が皆その価値観で応えてくれるという保証はない。
ここが大きな問題だろう。
アメリカに代わって覇権を取ろうという野心を抱いている中国に対し、胸襟を開いて大丈夫なのかという不安はやっぱりある。
だけど、そこまで警戒するのもどうかという気もする。
「裏切られるのを覚悟で信頼する」か「警戒しすぎて真の友情を築けずに終わる」か。
その判断は難しい。
信用とは、「信じても用心すること」だという。
今はこういうスタンスでいるしかないような気がする。
アメリカだってエゴの大国だし、日本の純情はご都合によって平気で踏みにじられる。
そんな大国の狭間で、我が国も賢く振舞うしかないだろう。
講演時間は50分と冒頭で語っていたが、よどみなくしゃべり続け、違和感なく時間ぴったりで講演を終えたのは、さすがだと感動。
今年は、竹中平蔵の講演も聞いたし、こういう講演は得るものが多い。
これからも、いろいろな人の講演を聞いてみたいと思ったのである・・・
【本日の読書】
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