2013年12月1日日曜日

ニュースより

 尖閣諸島を巡る中国の挑発は相変わらず続いている。先日はついに防空識別圏まで設定してきた。防空識別圏は領空とは違う。領空近くに設定し、ここに無届けの航空機が接近してくると、領空侵犯を警戒して防空戦闘機がスクランブルをかけてくる。それは、「ここは俺の縄張りだ」という威嚇行為である。

 中国がそれを設置してきたという事は、今後日本の航空機が近づいたらスクランブルをかけられて、場合によっては追い払われるという事になる。それが嫌ならあらかじめ飛行計画を提出しなければならないが、それは中国の権利を認めた事になる。尖閣諸島も今回の防空識別圏に入っているから、自ずと「ここには中国の権利がある」と認める事になる。我が国としては、到底看過できないわけである。

 どうなるのだろうと思っていたら、CNNでデカデカと米軍機のアクションを報じていた。グアムの基地から飛び立ったB52爆撃機が、この防空識別圏を飛行したという。“爆撃機”というところが、米軍もいやらしい。というのも、「足の速い」戦闘機ならいざとなったらすぐ逃げられるが、「足の遅い」爆撃機だとそうはいかない。という事は、初めから逃げるつもりなどないわけで、「やれるならやってみろ」という挑発に他ならない。スリルある「ピンポンダッシュ」ならぬ、悠然たる「ピンポンウォーキング」である。

 これに続いて自衛隊機も飛行したらしいが、果たして米軍がいなくてもやるだろうかと思うと、「挑発に挑発で応える」ような行為はやらない我が国のやり方からすると、答えは簡単だ。となると、やっぱり米軍のプレゼンスは大きいと思わざるを得ない。実際、米軍がいなければ尖閣諸島はあっと言う間に中国に取られているだろう。上陸されて居座られたら、抗議などカエルの面に何とやら。竹島が良い例である。

 沖縄の米軍の重要性もわかるというもので、基地を県外になどと言っている場合ではない事になる。「それはそれ、これはこれ」では、あまりにも虫がよすぎる。そうなると、安倍政権にも強気で行けという感情も出てくるのかもしれない。ただでさえ「右傾化」と批判されているのに、呼応していたらよけいそうなるのだろう。

 と思っていたら、突然の如く出てきた「秘密保護法案」がここに来て衆院を通過し、さらに日本版NSCが表面化している。憲法改正の主張も従来通りだし、たぶん安定政権の座を手に入れたからこそ、今まで出来なかった事を一気にやろうとしているのだろうが、どうだろう。

 それらに対しては、当然ながら「戦争をする国になる」と危機を煽る声が出てくる。だが、それはあり得ない不安だろう。20世紀初頭とは明らかに世界情勢も違う。戦争が国家間の紛争解決の一手段だった当時と、今やそれをやるのは世界でアメリカだけという現代とを同じに論じるのはナンセンスというものである。いたずらに危機感を煽っているだけで、本当の問題点をきちんと議論できていない。

 ただそうは言っても、こうしたニュースが続くのは気分的には良くない。アベノミクスと言っても、当分個人の財布にはマイナスの影響しかないだろう。物価が上昇していって、インフレが続けば借金の価値も減る。そんな「借金解消」方法を狙っているという主張もあるが、あながち的外れとも言えない。

 議員定数削減とか、国家公務員の削減とか、一時威勢の良かった意見はもうどこかへ消失してしまった。尖閣諸島問題では、米軍頼み。基地問題はとにかく沖縄に押し付けて終わり。支出の議論をしないまま、消費税を上げて済まそうとする。そこには、自分が痛みを耐えて何とかしようとする意思が感じられない。

 何だかなぁ、と思うものの、妙案はない。それよりももうすぐ支給されるボーナスを心待ちにしている自分がいる。実に小市民的であるが、何ができるかと考えてみれば何もできないのだから仕方ない。そう言い切ってしまうのも無責任な気がするから、当面はこうしたニュースに興味を持っていようと思う。

 それがせめて自分に出来る事だと思うのである・・・

【今週の読書】
警視庁似顔絵捜査官001号 - 戸島 国雄 逆説の日本史 20 幕末年代史編3 西郷隆盛と薩英戦争の謎 (小学館文庫 い 1-35) - 井沢 元彦








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