2011年11月29日火曜日

週末のバスタイム

週末のお風呂は子供たちと一緒に入る事にしている。
それは子供たちが生まれた時からの習慣だ。
初めのうちは「子供をお風呂に入れる」という仕事だったが、子供たちも大きくなって「入れる」必要もなくなってからは、文字通り「一緒に入る」ようになっている。
昼間も家にいる時は、子供たちと一緒に過ごすのであるが、お風呂という閉ざされた空間で一時を過ごす事にはまた別の意味があると思う。

小学校5年の長女はいまだに一緒に入ってくれる。
それが良いのか悪いのかは別として、一緒に湯船に浸かっている一時はお話をするいい機会だ。テレビを観ながらとか、歩きながらとか、何かをしながら話をするのではなく、狭い湯船の中で顔を突き合わせて話をするのは、伝わり方が違う気がする。

どんな話をするかと言っても、大概は他愛ない話だ。
宇宙はどこまで広いのだろうかとか、地球の歴史はどれだけ古いのだろうかといったスケールの大きな話や、おじいちゃんおばあちゃんの子供時代はどんなだったかとか、逆にお前たちの孫たちの時代はどんなだろうなどといった話だったりもするし、単純なクイズの時もある。

それに加えて、時折意識的に自分の考えなども話している。長女にはとにかく人に対して優しくあってほしいと考えている。例えば、人はその内面が表情に表れるものだと日頃思っているが、いくら顔かたちがきれいでも、意地悪な性格はそのまま表情に表れるものだ。そんな「冷たい美人」よりも、穏やかさが表情に表れる女性になってほしいと思うから、常日頃から心の中でもいつも優しくないといけないと、そんな考えを話したりしているのである。

難しいのは、小学校5年の長女と年長さんの長男とでは同じ話ができない事だ。
長女にはあまり子供だと意識せずに話をしているが、長男はまだまだ子供向けの話でないといけない。最近は初歩の算数のクイズを長男に出し、彼が一生懸命指を折って悪戦苦闘している間に、長女と話をするというテクニックを駆使したりしている。風呂場には世界地図と日本地図が張ってあるので、それを小道具として利用したりもして工夫している。

長女には、好きな男の子の話を聞いた事もあった。
長女も最近の子らしく、好きな男の子に自分からコクったりしているらしい。
女の子なら、自分からコクらずに相手からコクらせるように仕向けるのだと、その方法を伝授した事もあった。「効果があるのか」と聞かれれば、「理論的には大丈夫」といったところだろう。

「どうしてパパはそんなに詳しいのか」と聞かれ、「いろいろ経験したからさ」と答えたが、心に何針も縫った跡がある経験が今になって生きていると言える。それが果たして実践で効果があるかどうかはわからないが、もしも効果があれば親としては嬉しい限りだ。スティーブ・ジョブズも言っているが、役に立たないと思えた経験が、後になって生きて繋がるという事もあるという例になるだろう。

子供に伝えたい事はいろいろある。
勉強もしてほしいが、勉強しろと言うのではなく、勉強する楽しさを教えたいと思う。
本を読む習慣は身に付きつつあるのは、嬉しい事だ。
今は「ハリー・ポッター」シリーズに夢中だが、それでいいと思う。
もう少ししたら、映画の感想なども話し合えるかもしれない。

この先もずっと続けていきたいと思うのだが、いつまでもそういうわけにはいかないだろう。
特に長女と一緒にお風呂に入ってお話をする時間は、もうそんなに長くはないだろう。
やがて長男と二人っきりになるのだろうが、その時はボーイズトークで男同士の話をする事にしよう。いつか一緒に入る事もなくなるのだろうが、その日がくるまでは週末のバスタイムは大事に楽しみたいと思うのである・・・


【本日の読書】

40代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則 - 大塚 寿  フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) - デビッド・カークパトリック, 小林弘人 解説, 滑川海彦, 高橋信夫





                             

2011年11月25日金曜日

円高について

ここのところ円ドル相場は1ドル77円くらいで推移している。
随分と円高になったものである。一時はマスコミも政府に対し、円高無策と随分批判していたが、高止まりが続く今ではもうそんな声も聞こえてこない。円高が悪者扱いされていたが、果たして円高は日本にとって良いのか悪いのか、と考えてみた。

先日、メーカー勤務の人がとにかく円高対策が必要だと語っていた。
もちろん、彼にとっては会社の業績=自分の給与となるわけで、そうした立場から円高悪者論に与する気持ちはよくわかる。マミコミは大企業から広告料をもらっているから、大企業寄り(つまり円高悪者論)となるのは当然の事。そんなマスコミの言動を無批判に受け入れてはいけない。しっかりと考えてみないといけないところだ。

そもそも円高とは、日本の円が他国の通貨に対して強くなる(=価値が高くなる)事だ。
それがどうして悪いのかというと、輸出した時に円の手取りが減ってしまうからだ。
今まで1ドルで売って100円手に入れていたのが、76円に下がってしまうわけだから、輸出企業はたまったものではない。

しかし逆に見ると、1ドルのものを輸入して(買って)いた人は、100円ではなく76円で良くなるわけだから、お得なわけである。海外旅行も然り。
昨年我が家はグアムに行ったが、その時使ったドルを合計して、5年前に行った時の相場に換算してみたところ、トータルで2万円安かった事がわかった。
家族でちょっと豪華な夕食が食べられる。
何もせずに2万円も違うのはけっこう大きい。

2年前に原油価格が高騰し、1バーレル100ドルを越えて大騒ぎになった事があった。
我が家もガソリンを入れに行って、いつも1回あたり5~6,000円だったも
のが、8,000円近くなって驚いたものだ。実は今また原油が1バーレル100ドル前後になっているが、大騒ぎにならないのは円高だからである。当たり前だが、円高にはメリットとデメリットがあり、冷静に比較してみないとどちらが良いのかはわからない。

もちろん、立場によっても異なるだろう。
輸出メーカーに勤めている人からすれば、円高はとんでもないことであるし、私のような消費者からすると、むしろメリットの方が大きい。
メリットを受ける人とデメリットを受ける人はどっちが多いのか、という問題になると、日本のGDPに占める輸出の割合は、実は2割に満たないらしい。
そうすると、自ずから答えは見えてくるような気がする。

要は立場によって違うのだから、自分の立場から発言すれば良いのではないかと思う。
輸出企業に勤めているわけでもない内需系の飲食店経営者が、「円高に対する政府の無策はけしからん」などと新聞の受け売りを声高に発言しているのを聞くと、「ホントにわかって言ってるのだろうか」と思ってしまう。
あなたが売っているイタリアワインは、円高で安く仕入れられるんですよと問いたくなるのである。いや、ひょっとしたらわかっていて、なおかつ言っているのかもしれないが・・・

そんな声に後押しされてか、政府も思い出したようにドル買い円売り介入するが、この介入が一時の効果しかない。
買ったドルはみんな米国国債に化けて含み損が積み上がっていく。
みんな税金なのに・・・

「みんなの意見とは不平不満を抱えているやつの意見だ。満足している人は意見を言わない」とは、いつも私がチェックしているブログに載っていた言葉だ。円高にも大いに当てはまる気がする。幸いこのブログは自分の自由な意見を書き込めるわけだし、個人的な立場からいくと、円高けっこうではないかと思う。また風向きが変われば、意見も変わるかもしれない。

だが当分の間は、円が強いと言う事を素直に歓迎したいと思うのである・・・


【本日の読書】

40代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則 - 大塚 寿  フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) - デビッド・カークパトリック, 小林弘人 解説, 滑川海彦, 高橋信夫




2011年11月21日月曜日

塾に行かせる事にした

小学生も高学年になった頃、母親に「塾に行きなさい」と何度か言われた。
「中学になったら行く」と言ってごまかし、いざ中学になっても「来年から」とかその都度何だかんだと言い逃れ、結局行かなかった。塾にまで行って勉強などしたくはなかったのだ。それでも決して勉強嫌いというわけではなく、都度都度それなりにしていたし、大学受験で失敗して宅浪していた時はそれこそ死ぬほど勉強した。ただ塾というスタイルに抵抗感を覚えていたのだ。結果的にはそれで問題なかったし、それで良かったと思っている。

さて、問題は我が子だ。
そういう自分の考えがあるから、子供を塾に通わせようという気など毛頭なかった。
お受験など論外で、幼稚園も小学校も中学校も歩いて通える公立で十分だと考えていた。
私も大学まで国公立一筋だったから、小学生から塾通いなどさせてまでして、私立などに積極的に行かせようとは思わなかったのだ。

それは今でも変わらぬ考えなのであるが、そんな思惑が大きく狂ってきた。
その理由は、「中高一貫教育」というやつだ。子供を通わせたいと考えていた近所の都立高校が、なんとその中高一貫教育になってしまったのだ。受験は中学から。そしてそれが約10倍近い競争率なのである。
当然入試(適性検査と言うのだ)もかなり難しい。私も問題を見たが、とても学校でやっている勉強だけでできるものではない。高校生くらいになれば、自分で傾向と対策を立てられるかもしれないが、小学生では無理だし、親ができるものでもない。そうすると必然的に「塾へ行く」という結論に至らざるを得ない。

しかし問題は娘がどう考えるか、だ。
「塾へ行け」と言うのは簡単だし、「行かせる」事も簡単だ。
だが、「行って勉強するか」は別問題だ。こればっかりは本人次第だ。
「水際に連れて行っても水を飲ませる事はできない」のだ。
多くの親たちが子供を塾に通わせて安心している。
しかしながら実際には、塾へ行っていても勉強しているかどうかはわからない。

私も過去に、塾や予備校に行っていても、真剣に勉強していない先輩や友人の姿を見ていたからよけいにそう思う。大学受験に失敗して浪人していてさえも、勉強していない人はしていなかった。要は本人のやる気が大事なのだ。

そんな懸念があって、娘と話をした。
そうしたら、意外な事に本人は塾へ行きたいと言う。
週3回、5時から7時半という時間も説明したが、いいと言う。
そうして近所の都立に行きたいと言う。
まあそこまで言うのなら、と6年生から行かせる事にした。

学校の方も、本当は小学校の勉強の延長的な問題を出題してもらいたいところだ。
いろいろと考え方はあるのだろうが、塾に行かないとわからないような問題を都立が出すというのはいかがなものかと思う。国公立の学校が、小学生から受験を強いるというのも、(強制ではないにしろ)どうかと思う。まあ親としても行かせて終わりではなく、娘が頑張って塾に通う1年間は、しっかりと感心を持って接したいと思うのである・・・



【本日の読書】

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか - ダニエル・ピンク, 大前 研一     勝海舟と福沢諭吉: 維新を生きた二人の幕臣 - 安藤 優一郎







2011年11月17日木曜日

親父のパソコン

先週末、親父と共にヨドバシカメラに行った。
親父がパソコンを買い替えると言う事で、付き添いで行ったのである。
親父もパソコンを始めてもうかれこれ10年近くなる。
最初の頃は、「パソコンを買っても何をするんだ」と言っていたものであるが、仕事の請求書を作ったり、当時決算申告を代行していた私に資料を送付したり、と無理にいろいろとやらせたものである。

そのうち、趣味の写真がデジタル化。
写真愛好家のクラブに入り、仲間とメールのやり取りをし、写真の修正加工をしたりなどと範囲が広がり、今では写真の分野では私も太刀打ちできないくらいになっている。
そんな親父の愛用のVAIOもそろそろ7年選手。
仲間達からも古いと言われ、多少の使い勝手の悪さも出て来た事から、買い換える決意を固めたのである。

一人で偵察に行って、店員さんにあれこれと聞いたらしいのだが、どうも不安と言う事で、私が付き添う事になったというわけである。
3月にパソコンを買いに行ったが、あの時はノートパソコンだったので、デスクトップは見ていない。 改めてデスクトップパソコンのコーナーをうろうろするのは、久しぶりかもしれない。そんな我々の目に飛び込んで来たのは、いわゆる「一体型」というタイプ。
つまり、ディスプレイと本体が一体になっているものである。

私が4年前にパソコンを買い換えた時は、本体のみを購入し、ディスプレイやマウス、キーボードなどはそれまで使っていたものをそのまま使用した。
おかげで10万円程度で買えたのである。
親父にもそう勧めるつもりだったのだが、「タワー型」とでもいうのか、そのタイプはほとんど陳列されていない。店員さんに話を聞いてみると、これが最近の傾向らしい。
まあ「一体型」でも良いかとなって、物色を始める。

ハードディスクの容量は「1TB」の表示が目立つ。
TB=テラバイトであるが、いつのまにやらギガの時代も終わりらしい。
私が初めて買ったデスクトップは、確か512メガバイトだったような記憶があるが、隔世の感がある。今のパソコンだって250ギガあるが、まだまだ半分も使っていない。
どこまで巨大化するのだろう。

聞いてみるとカスタマイズもしてくれるとの事。
テレビなんていらないし、マイクロソフト・オフィスも別にソフトがあるからいらないし、と選んでいったら、最終的に価格は10万円だと言う。
7年前にVAIOを25万円くらいで買った親父も驚いていた。
インターネットも合わせて契約すると、さらに3万円引くと言われたが、これはやめておいた。

カスタマイズもあって、お届けは10日ほどかかると言われたが、本人も来るのが楽しみのようである。そして、親父のVAIOをもらい受けようとしている弟も楽しみにしているようである。届いたらセットアップに行く事にしている。

ウキウキしている様子を見ていたら、私もパソコンを買い換えたくなってしまった。
買っちゃおうかな、マック・・・

【本日の読書】
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか - ダニエル・ピンク, 大前 研一  勝海舟と福沢諭吉: 維新を生きた二人の幕臣 - 安藤 優一郎






2011年11月13日日曜日

保険

私の勤務先には、お取引先でもある大手生命保険会社の取引先担当者(職域担当者)が、営業に来ている。社員食堂の出口に立っては、目ぼしい人に声をかけている。
そしてその後は、あちこちのフロアーで「商談」をしている姿をしばしば目にする。

先日の事、その職域担当者に声を掛けられた。まだ20代の女性である。その昔、銀行に入ってすぐの頃の事、やはりいわゆる生保レディーの猛烈営業を受け、そこの保険に加入した事があった。当時たぶん30前後だと思われたが、若くて美形の生保レディーで、何度か提案を受け、最後は二人で飲みに行って契約した。

当時はまだ保険も横並びの時代。どこであろうと内容は大した違いはない。どうせどこか入らないととは思っていたし、まあ多少のスケベ心も働いて契約したわけである。相手もわざわざ飲みに誘ったり、帰り道には腕を組んできたり(残念ながらそこから先の発展はなかった)と、今思えば大変だったのではないかと思う。

その後、結婚を機に保険の見直しを行い、それまでの保険は一掃しソニー生命に加入して今に至っている。内容はもう見直す余地はない。なので職域担当の20代女性営業に声を掛けられたところでこちらに用はない。その旨をやんわり伝えたが、相手はひるむことなく名刺を差し出してきて、一緒にエレベーターホールまでついて来た。その熱心さと、一応お取引先だから無碍にはできないしと、やむなく日を改めて話を聞く事にした。

昔だったらいざ知らず、今は若い女性というだけで鼻の下を伸ばす事もないのだが、よく見ると美形だ。職域という事で、若い者でも安心して行かせられるという会社の考えかもしれないし、ひょっとしたら、若い女性を送りこんで鼻の下を伸ばさせて契約を取ろうという魂胆なのだろうか、などと思いながら話を聞く。少し小首を傾げて、髪を耳のところにかきあげたりする仕草は、意識してのものだろうかなどと観察する。「その手には乗らないよ」と思いながら・・・

家族構成を聞かれたが、性別と年齢だけ答える。それ以外の情報の開示はやんわりとお断り。
そんなにほいほい聞き出せるほど甘くはないよ、と思いながら・・・
加入している保険の種類と金額とは教えてあげる。ソニー生命の担当者は友達なんだと語り、だから切り替えは難しいよと暗示する。

「月々の保険料は○万円くらいですね、そうするとあんまり余裕はないですね」と担当者。
「ほぉ」と感心する。最低限の情報だったのに毎月の保険料を当ててくるとはやるねぇと思う一方、まあそのくらいは当然かもしれないとガードは下げない。

一通りの質問のあと、「奥様の保険がないですね」とにっこりと満面の笑みを浮かべて担当者がいう。とっておきの営業スマイルかどうかはわからないが、良いところをついてきた。
実は妻が長年かけていた保険が満期になり、医療保険か何か考えようと相談し、ライフネット生命保険などチェックしていたのだ。敢えて黙っていたのだが、よく気がついたと感心。

「年金型ですとまだ所得控除も使えますし、是非提案させて下さい」と言ってきた。こちらも気がつかなかった視点だった。どうやら1回限りのつもりだったが、もう1回会う事になりそうだ。まあ決して笑顔に屈したわけではないから、良いだろう。この機会にせっかくだから妻の保険の提案も受けてみたいと思う。さて、どんな提案になるのか。

笑顔ではなく内容を、楽しみにして待ちたいと思うのである・・・


【作日の読書】
悪の教典(下) (文春文庫) - 貴志 祐介
悪の教典(下) (文春文庫) - 貴志 祐介

2011年11月9日水曜日

日本の農業

前回TPPについて考えたが、そうすると当然ながら農業からの反対論に出会う事になる。
日本の農家が大打撃を受けるというものだ。
しかし、本当にそうなのだろうか。
日本は世界第5位の農業大国であるというし、もともと農耕民族としての長い歴史もあるし、技術力も高いというのに、なぜなのだろうと疑問に思う。
何せマスコミは信用ならないから、迂闊に信じてはいけない。

そこで宮城県で農業を営む先輩Hに質問をしてみた。
先輩曰く、原発事故前はTPPに反対だったが、今は良いのではないかと思っているという。
その理由はと言えば、どうやら農協の存在のようである。
例えば放射能検査について、先輩Hは徹底的に測って安全性をアピールすべきだという意見なのだそうだが、農協は「測る事自体が不安を生み、風評被害を生む」という考え方だと言う。
そして、オイシックスが徹底した検査で売上を伸ばしているというニュースと比較して、そのあり方を嘆いている。どうも都会の消費者との感覚にだいぶズレがあるようだ。

農業にも常々矛盾を感じている。
食料自給率が低いと言って煽っておきながら、一方で休耕地を増やしているし、それに対しては手当も支給している。
法人の参入は認められていない。
農家の保護と言われても、ピンとこない。
もっと違う方法があるような気がしてならない。

例えば、農業にも法人の参入が認められれば、会社から給料をもらって農業をする事ができるようになる人がでてくる。そうすれば、天候に左右される不安定な「職場」に、若者たちも参入しやすくなる。わざわざ都会に出ていかなくても、企業に就職して地元の田畑に「配属」してもらう事ができるようになる。本社で研究開発したものを、各地の田畑という「工場」で効率的に生産すれば、日本の農業技術力は高いというし、安くて安全なおいしい農作物がスーパーに並ぶ事になるだろう。

年老いた農家は、田畑を企業に貸せば地代で老後を過ごせる。
休耕地なんて必要ないし、手当も廃止できる。
子供たちも地元で「就職」できるし、過疎という事も防げる。
素人考えでもなんとなくいけそうな気がする。
TPPによって、外国産の安いだけの農作物が入ってきたところで怖くはないだろう。
困るのは、それまですべてを牛耳ってきた農協ぐらいだ。

そう考えると、何で農協がTPPを始めとして農業改革に徹底して反対し、農家のためと称して農家を手当て漬けにして洗脳しているのかが見えてくる。農協の立場に立てば、当然の動きだと思う。
理屈は理屈として、現実的には農協はとにかくお金を持っているし、政治家だって何人も抱えているし、そう簡単には理屈通りにはいかないのだろう。
東北の1農家である先輩Hの意見を聞いたら、日頃の疑問がすっきりとした。
現場の人たちも、いろいろな思いがあるのだ。

本来マスコミには日本の抱えるそんな問題点を指摘し、解決策を提案するような役割を期待したいところだが、権力にはペンで立ち向かっても、金持ちの鞄はしっかり持つところがあるから難しいのだろう。自分の事は誰でも大事だし、世の中金を持っている者はやっぱり強いし、理屈通り理想通りというわけには、なかなかいかないのだろうなと思うのである・・・


【本日の読書】
『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則』カーマイン・ガロ
『悪の教典 下』貴志祐介

              

2011年11月6日日曜日

TPP

最近TPPに関する議論が新聞などのメディアを賑わしている。
非常に興味深いのであるが、ニュースを見ても「誰が賛成で反対が誰で」というようなモノばかりである気がする。まあ概ねメディアはTPP推進賛成といったところなのだろう。

だが、そもそもTPPに参加する事が、我が国にとって良い事なのか悪い事なのか、その判断をさせてあげようという考えはメディアには無い気がする。
一体、どちらを選ぶべきなのか、私にはいまだにわからない。

なんとなく、参加した方が国民生活にとっては良さそうな気がする。
だがアメリカが熱心に参加を促してくるというところが曲者だ。
アメリカは親しげな顔をして近寄ってきても、平気な顔でデメリットを押し付けてくる国だ。
アメリカ人は信用しても、アメリカ政府は信用すべきではない。
裏には瀕死の自国経済の尻拭いを「金を持った愚かな」ヤツにさせようという魂胆があるかもしれない。

一方農業関係者が反対する理由はわかりやすい。
自分達が楽して得ている権益を失いたくないからだ。
その他にも医療業界に混乱を招く、海外から一般労働者が流入する、食料安全基準が緩和されて食料の安全性が脅かされる、日本郵政への庇護が撤廃させられて外資に買収される、公共事業への外資参入によって地方の建設業者が倒産する、などという反対理由もあるようだ。
どうやらTPPの影響はかなり広そうである。

賛成論は概ね貿易推進派のようであるが、我が国が貿易立国である事を考えると一見正しそうである。しかし、例えば自動車について言うと、日本からアメリカに輸出する場合は、2.5%の関税をかけられているが、アメリカからの輸入車に対して日本の関税は0である。
実は偉そうに自由貿易を標榜するアメリカだが、こと自動車に関しては日本の方が公平なのだ。

TPPによって公平になる、と言いたいところだが、2.5%の関税ってそんなに影響力があるだろうか。現代自動車と競争して負けるような税率ではないと思う。むしろ為替レートの方が深刻だろう。2.5%の税率など、5円くらい円安になれば雲散霧消してしまう。

反対論はどうも自分達の権益を守ろうとしているものばかりのようだ。
「こうなるから大変だ」と言って、「だから反対」というものだ。
だが、本来は「だからどうすべきか」と考えるべきではないかと思う。
準備期間が必要なら、それは当然考慮されるべきだろうが、頑なに扉を閉ざす理由にはならない気がする。

賛成論はとにかく押し切ろうとしている感じがする。
アメリカに圧力をかけられているのかもしれないが、それが国益になるのかどうかが重要だ。
アメリカのではなく、日本の国益だ。
輸出が倍増すると言うが、そんなに甘くはないと思う。
さらに10円、20円と円高になっても、そう主張できるのだろうか。

マスコミはもっと国民の関心を煽るべきだろう。
みんな他人事だと思っているから、ロクに説明もしないで推し進めようとする政府に無関心でいる。だから政治家も「国民にはパンだけ与えておけばよい」と思ってしまうのだろう。
太った豚にされぬよう、こういう問題にも関心を持ち続けていたいと思うのである・・・


    
    

2011年11月2日水曜日

何が情けないって

先日の事だ。
いつものように仕事から帰ってくると、珍しく娘が部屋に入って来た。
多くを語らず黙ってノートを差し出す。
それは家庭と先生との間でやり取りされる連絡帳。
中を見ると先生からのメッセージが・・・

「今日ある男の子がお母さんに付き添われてきました。学校へ行きたくないという事だったのですが、理由を聞くと○○(娘)ちゃんともう一人の女の子に、「○○」と言われ傷ついたという事でした。~~ご家庭でもよく指導して下さい。」
ありゃりゃと、娘の顔を見ると下を向いてしょげている。

事情を聞くと、多くは語らないものの、そんな大事とは思わず面白半分だったようである。
娘の性格からして意外な気もしたが、どうやらもう一人の子に便乗した形らしい。
娘には相手の気持ちになって考える事の大事さを語って聞かせ、明日学校で謝るとともに、手紙も書きなさいと言ったところ「もう書いた」との返事。

まあそれはそれで良しとして添削だけした。
悪気はなくとも相手は深刻に受け止める事もある。
言われた言葉の重みは、言われた者にしかわからない。

実は私にも同じような経験がある。
小学校4年の時に、前の席に座っていた女の子にチョッカイを出して、出し過ぎて翌朝その子のお母さんから電話がかかって来てしまったのだ。
母に怒られたが、それよりなによりバツの悪さの方が強かった。
ちなみに2年後、その子に告白して見事ふられた。
中学に進んだあと、3年間同じクラスという憂き目にもあった。
今あの子はどうしているのだろう・・・

娘に対してはそんな事もあって、叱りはしなかった。
十分身に沁みているだろう事は、自分の経験と様子とでわかったからだ。
ただ一応、観たいと言っていた映画禁止の罰は与えた。
それ以上は咎めないつもりだ。

それはそれなのであるが、どうも後味がしっくりこない。
そもそもであるが(子供には絶対に言えない事であるが)、「女の子にからかわれた」と言って「学校に行きたくない」とほざく男というのは一体どういう事だ、という思いがある。
よそ様の息子だから大きな声では言えないが、我が息子がそんな事を言ったらケリ飛ばしてやるだろう。まさか女の子をひっぱたいて来いとは言えないが、まあ悪口を言い返して泣かせて来いくらいは言うだろう。いくら小学生とは言え、今から情けなくて先が思いやられる。

最近は女の子の勢いを感じる事が多い。
お手伝いしている教育財団の留学生面接でも、合格者の上位は女の子ばかりだし、今や女高男低の感はあちこちで強い。しかし、だからと言ってこれは話が違う。もっとしっかりしないと、日本男児は本当にどうなってしまうのだろうと心配になる。せめて我が息子だけは、しっかり教育しようと心に誓ったのは言うまでもないのである・・・



【本日の読書】
スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション - カーマイン・ガロ, 外村 仁 解説, 井口 耕二  悪の教典(上) (文春文庫) - 貴志 祐介