3.勇気を以って意見具申せよ
4.自分の仕事でないと言うなかれ
5.決定が下ったら従い、命令は実行せよ
《後藤田五訓》後藤田正晴
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会社の同僚と「仕事の範囲」について議論した。その同僚は、私の前任の総務部の責任者である。話したのは「総務部の仕事の範囲」について。我が社の総務部は間接部門を束ねていて、中心は経理であり、そこに人事も含めた「総務部」である。前任者は在任中、社内で軋轢がいろいろあったのだと聞かせてくれた。それは会社の業務から生じる「グレーゾーン」に関するものが多くあったらしい。「グレーゾーン」とは、責任の曖昧な業務のことである。
なぜそんなグレーゾーンが生まれるのか、不思議に思った私が問い掛けて得られたのが、まさに「仕事の範囲」であった。前任者の考える総務の仕事とは、かくあるべきものというもので、それは必然的に下記のようなものになる。
「業務部の仕事」+「営業部の仕事」+「総務部の仕事」=「会社の仕事」
これに対し、私のイメージする総務部の仕事は、
「総務部の仕事」=「会社の仕事」-(「業務部の仕事」+「営業部の仕事」)というものである。
平たく言えば、業務部の仕事と営業部の仕事以外の仕事はすべて総務部の仕事と考えている。これだとグレーゾーンは生じない。前任者は、「考え方は人それぞれだから」と言って私のそうした考えに何もコメントはしなかったが、お互いの考え方の違いは明らかであった。考え方は人それぞれだから前任者が悪いとは思わない。ただ、グレーゾーンを作り出して部長同士でその仕事を巡って対立するのが、全体(会社)にとっていいのかという点は考えてみる必要はある。
もちろん、なんでも総務に押し付けられてはかなわないというのも事実である。やるべきことが膨れ上がってこなせなくなるという懸念も理解できる。ただ、それは「誰かがやらなければならない仕事」なのである。ならば互いに押し付け合うのではなく、「自分がやる」と引き受けたいと私は考えるだけである。もちろん、できもしないのでは話にならないので、困難であるなら手伝ってもらうようにすればいいのではないかと思う。もともとグレーゾーンであるなら、手伝ってもらえる要素は多くあるだろう。
およそ「自分の仕事ではない」というのは、簡単である。そうして頬っかむりしてやり過ごせば、もしかしたら誰かが引き受けて自分の仕事は増えないかもしれない。それで得をしたと思うならそれでもいいと思うが、私としてはそれを得だとは思えない。それよりもむしろ自分が引き受ける方を選ぶ。そこで誰がやるかを巡って停滞するのであれば、自分がやると言って全体がスムーズに動く方がいいのではないかと私は考える。それが損だとは思わない。
そう言えば、子供たちが小学生の頃、PTAの役員を巡ってのお母さんたちの苦労話を妻に聞いたことがある。曰く、誰も手をあげないので、決まるまで帰れなくて気まずい思いをするというのである。私ならさっさと引き受けて帰るだろう。子供が通っている学校の仕事なのだから、負担だろうと子供のためと割り切ってやればいいと思ったものである。平日の仕事でなければ私が引き受けていたところであるが、振り返ってみれば私の基本的な考え方というのは同じである。
「余計な仕事」と考えれば「やると損」と思うのかもしれない。しかし、「必要な仕事」と考えればそうではない。そしてそういう仕事を引き受けていれば、その組織の中で存在感を増し、「なくてはならない人物」になるように思う。良い子ぶるつもりはないが、組織の中で存在感のある者にはなりたいと思うし、そう思うならどんどん仕事を引き受ける方が手っ取り早いと思う。そしてもし、手一杯で引き受けたくても無理ならば、誰かが引き受けられるようにサポートをするだろう。
前任者は在籍期間が短かったようであるが、おそらく私はずっと身分を維持できるだろう。取締役に引き上げてもらったので定年とも無縁である。残念ながら還暦を過ぎてもまだまだ働いて稼がないとならない身ゆえ、今の収入を維持し続けるためにも取締役という身分はありがたい。今の自分の存在感を維持できれば、目標である70歳まで働くことも可能だろう。そしてそれは、「自分の仕事」が増えるようにしてきたからだと思う。
これからも全体目線で、「自分の仕事である」という考え方を常にできるようにしていきたいと思うのである・・・
Hans DietmannによるPixabayからの画像 |
【本日の読書】
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