実は我が家の風呂には日本地図と世界地図が張ってある。お風呂専用の地図で、風呂に入りながら自然に覚えるかなと思って、娘が幼稚園くらいの時に買いこんできたものである。その成果だろう、我が家の子供たちは世界にどんな国があるかとか、どんな国旗かなどという事にけっこう詳しい。そんな下地も、もともとあった。
さてそうして地図を眺めていた息子が、ところどころで奇妙な表記に気がついた。タヒチ(フランス)、ニューカレドニア(フランス)などだ。さらには「この国では何語しゃべっているの?」なんて質問に、英語と並んでフランス語、スペイン語、ポルトガル語が多い事に、我が家の子供たちは気付いた。大人ならば、そんな理由は良くわかっているが、子供にしてみれば不思議だったようだ。
帝国主義だとか植民地などといっても、6年生の娘はともかく、1年生の息子には難しい。昔は、海の向こうに何があるのかと冒険に出て行って、発見した土地を自分のものにしちゃったんだよと、説明した。そう言えばグアムも似たようなものだ。第二次大戦後、当時の先進国の植民地はこぞって独立していった。だが、そうしなかった名残りが、今の憧れの観光地になっている。
何で独立しようとしなかったのか、詳しくはないので知らないが、南の島の人たちだから、独立などにはこだわりなく、のんびりしていたのかもしれない。ニューカレドニアには新婚旅行で行ったが、ゆったりと流れる時間の中、海も空も青く、静かに打ち寄せる波は白く、水はどこまでも透明で、こんなところでのんびり暮らしたいとつくづく思った。日常生活などはすべて忘れたし、政治がどうだとか経済がどうだとか、そんな気分にはならないのかもしれない。それにかつては植民地と言えば、収奪の対象だったが、人権の時代の現代ではそんな事はできない。そうした居心地の良さもあるのかもしれない。
お風呂の地図は平面だが、地球儀は球面。ヨーロッパとアメリカが実は近いというのもよくわかる。さらにはエベレストには、「世界一高い山」という注記がしてあったり、良く見るとそんな知識も身に付きそうな感じである。チャップリンは映画「独裁者」で、地球儀の風船で遊ぶ独裁者をコミカルに描いて見せた。世界を手玉に取る独裁者を暗示するシーンだったが、「手玉に取る」事は望まぬが、「股にかける」ぐらいは良いかもしれない。くるくる回して遊びながら何かを感じてくれるなら、おじいちゃんとおばあちゃんも本望だろう。
そう言えば、私も子供の頃地球儀をもっていたが、あれはどうなったんだろう。ちょっと思い出したのである・・・
【本日の読書】
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