2024年5月26日日曜日

休みの日にあれこれと仕事の事を考えるのは・・・

 我が社は週休二日制であり、土日は基本的に休みである。しかし、社内のコミュニケーションツールであるLINEWORKSには、週末でも社長からメッセージが飛んでくる。私は一応取締役であり、日頃「役員にオフはない。あるのはオンかスリープだけ」と公言している通り、休みでも社長からメッセージが飛んで来れば仕事モードに切り替わる。あたかもパソコンのスリープと同じである。ログオフしてしまうと再起動に時間がかかる。すぐに反応できるようにするためにはスリープ状態を保つ必要がある。

 と言ってもおべっかを使っているわけではない。自分なりに週末でも気になる事があればあれこれと考えているのである。ラグビーのプレーを妄想している時もあれば、それと同じ感覚で気になる事があれば仕事の事もあれこれと考えている。それは風呂に入っている時であったり、道を歩いている時であったり、時と場所を選ばずである。どうやら部下には、私は社長と同じように「仕事が趣味」と思われているようであるが、決して趣味ではない。ただ、必要があるから自然とそうしているだけである。

 私には70歳までは住宅ローンが残っているし、息子もこの春大学に入ったばかり。何より老後の楽しい生活を送るためにはまだまだ稼がないといけない。そのためには今の会社がきちんと存続しないと無理である。還暦目前の年齢では、いくらビズリーチでもスカウトなどこないだろう。せいぜい月々20万円くらいで雇ってもらえる仕事があればいい方だろう。そう考えると、会社が倒産するというのは世にも恐ろしい事態であり、それだけは何としても避けなければならない。そのためには休みの日にのんびりなどしていられない。

 今の会社はシステム開発を手掛けている。長年、銀行員生活を送り、ちょっと不動産業界で汗をかいた私には全く無縁の世界である。当然、社員の皆さんに頑張っていただかないといけない。そのためには、みんながこの会社のために頑張りたいと思えるような「いい会社」にしないといけない。そう思うと、日頃みんなが何を考え、どんな事に不満を持っているのか、どんな事にやりがいを感じているのかは気になるところ。そう考えて、全員と人事面談をやっている。今までの総務部長は誰もやってこなかった事である。

 必ずしもみんなが本音で接してくれているとは限らない。ただ、一応それなりに成果は出ていると思う。ある者は自分の実力が過小評価されていると不満をぶつけてきた。それはその通りかもしれないと思えた。ただ、その者も態度があまりよろしくない。そのあたりが煙たがられているところもある。それならと、現場責任者と話をして然るべきプロジェクトにリーダーとして参加してもらうように手配した。自分だけでなく、部下もきちんと動かせないといけない。これでうまくできれば良し、できなければもう大口は叩けまい。

 労働時間に関しての不満も聞いた。しかし、残業時間からすれば大した事はない。それは本人も感じていて、「昭和世代に言えば叱られる」と認識している。しかし、早く仕事を終えてプライベートに自分の時間を使いたいという気持ちもよくわかる。昭和世代から言えば大した残業ではないが、考えてみれば自分も「毎日10時まで仕事して、遅い夕食を食べて11時半頃に独身寮に帰り、風呂に入って寝て、翌朝6時に起きる」なんて生活をもう一度やれと言われても無理である。昭和世代だってもうできないのに、若い人に偉そうに言うのはやめた方がいいと思う。

 管理職も自宅に仕事を持ち帰ったり(正確にはオンラインで会社のPCにアクセスして時間外在宅勤務しているのである)して仕事も負担は重いと言う。自分は現場経験がないので適切なアドバイスはできないが、「自分でないとできない仕事」だけに専念し、部下でもできる仕事は部下にやってもらうという事はできないかと提案した。部下の育成にもつながるので一石二鳥である。なかなか簡単ではないだろうが、この週末も何か妙案はないかと、気がつけばあれこれ考えていた。

 そうやって会社の事をあれこれ考えるのも、翻ってみれば自分のためである。仕事が趣味なわけではなく、会社の存続、すなわち自分の今の生活を維持していくためである。「仕事と書いてもんだいと読む」と日頃社長には言っているが、「問題が起こるのは当たり前」、それを嘆いている暇があったら、モグラ叩きよろしく片っ端から潰していくしかない。片方でモグラ叩きをし、片方で資金繰りの皿回しをする。弾はあちこちから飛んでくる。文句を言っている暇はない。

 考えれば大変な状況であるが、嘆いていても始まらない。失業の恐怖に比べれば精神的にはずっと楽である。それに楽しもうと思えば楽しめる事も確かである。「我がものと思えば軽し傘の雪」。ただ嘆くのではなく、これからも社員みんなの事を考え、頑張って会社の屋台骨を支えてもらえるよう自分なりの仕事をしたいと思うのである・・・

Ben KerckxによるPixabayからの画像

【本日の読書】
モサド・ファイル2: イスラエル最強の女スパイたち - マイケル・バー=ゾウハー, ニシム・ミシャル, 上野 元美  思考の技術論: 自分の頭で「正しく考える」 - 鹿島 茂




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