2024年5月30日木曜日

論語雑感 述而篇第七(その37)

論語を読んで感じたこと。解釈ではなくあくまでも雑感
【原文】
子温而厲。威而不猛。恭而安。
【読み下し】
子(し)は温(おん)にして厲(はげ)し。威(い)ありて猛(たけ)からず。恭(きょう)にして安(やす)し。
【訳】
先師はおだやかで、しかもきびしい方であった。威厳があって、しかもおそろしくない方であった。うやうやしくて、しかも安らかな方であった。
************************************************************************************
 自分が他人からどう思われているのかは、興味深いところであり、知るのが怖い部分でもある。自分で思っているように他人は思ってはくれない。自分自身の事は100%自分でわかるが、「他人から見えている自分」はわからない。そのギャップが時折不満に繋がる。だが、野村監督が語っていたように「評価は他人が下したものが正しい」のが真実であると思うし、そこは意識すべきところであると思う。
 
 自分は孔子の評価と比べてどうだろうか。「穏やか」という部分は同じだと思う。「厳しい」という部分では、少なくとも今は当てはまらないと思う。若かりし頃は、後輩に厳しくものを教えたように思うが、ある時同僚の女性から「いじわる」と言われてショックを受けた事がある。そういうつもりはなかったが、そう見えたという事は当の後輩もそう思っていたかもしれない。しかし、今では「いじわる」以前に厳しくもないので当てはまらないと思う。

 「威厳」という意味ではまったくない。これは謙遜ではなく、その通りだと認識している。「威厳」とは「厳かで堂々としている」と説明されるが、「堂々としている」部分は時によってあると思うが、自分の雰囲気からして「厳か」とはかけ離れていると思う。「うやうやしく」はないが、「おそろしくない」「安らか」は当てはまると思う。考えてみれば「うやうやしくて安らか」という評価はなかなかもらうのは難しいと思う。さすが孔子である。

 自分自身、上記のように冷静に自己分析できるところはあるが、やはり他人の評価はわからない。若い頃、最初の昇格時から自分の評価に対しては常に不満を持っていた。明らかに自分の評価は低いと感じていたのである。それが最大のストレスであった。自分でもよくやっていると思っていたが、なぜ評価が低いのか、面談時に支店長を問い詰めた事があるが、はっきりした答えを得ることはないままであった。人事部の評価根拠がわからないのか、私には言えなかったのかは定かではない。

 一度だけ、転勤していった支店長から言われた事がある。「お前はかなりよくやっていたな」と。その支店長にはずいぶん叱咤されていたので意外であったが、どうやら転勤していった支店で私のポジションにいる部下と私を比較しての事だったらしい。その部下の出来を見ていて、私の方がはるかに高いレベルでこなしていたと気づいたとの事であった。どうせなら順番が逆なら良かったのにと思ったものである。

 今は、十分に評価していただいていると感じている。社長には常に頼られている自覚があるし、何事かあれば真っ先に相談してもらっているし、私の提案はほぼその通りに通る。その分、緊張感と責任感はあるが、やはりきちんと評価していただいていると仕事の満足感とモチベーションにつながる。自分の思いと「他人が下した評価」が一致していたら、これほど心地良いものはないと改めて思う。

 逆に人の評価をする時には、この点を意識したいと思う。私が直接評価している部下は少ないが、社員1人1人に自分の評価に対する考えを聞き取り、もしもギャップがあるならそれを解消してあげる必要がある。某ベテラン社員もそんな自分の低評価に不満を持つ1人であった。私が直接の評価者ではないが、それだけ自分に自信があるなら、是非ともプロジェクトマネージャーをやるべきとして、現場責任者と話をした。次にはそういう立場でやってもらうことになっている。うまくいけば評価は改善され、ダメなら不満を言えなくなる。本人も納得してチャレンジすることになった。

 社員にはどんな風に思われたいだろうか。「厳かではなく、貫禄はないが、話はよく聞いてくれてチャンスをくれる。そして迷った時にはヒントになる話をしてくれる。何か相談したい時には真っ先に顔が浮かぶ」そんな風に評価されたら快く思う。そういう評価をしてもらえるよう、これからも行動したいと思うのである・・・

xiSergeによるPixabayからの画像

【本日の読書】

思考の技術論: 自分の頭で「正しく考える」 - 鹿島 茂 ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト 森永 卓郎 高瀬庄左衛門御留書 (講談社文庫) - 砂原浩太朗






0 件のコメント:

コメントを投稿