2023年9月21日木曜日

読書雑感

 よく「愛読書は何か?」と聞かれて答えている人の記事を読んだりする。その都度、思う。「自分は同じ質問を受けた時に果たしてなんと答えるだろうか」。しかし、その都度、思う。「わからない」と。そもそもであるが、愛読書とは何だろうか。「愛読」なので繰り返し繰り返し何度も読み返すような本という事であろうか。私の場合、月に7~8冊平均の本を読んでいるが、「愛読書」と言われるほど何度も読み返している本はない。せいぜい、2~3回読んだという程度である。愛読書があるという人は、一体どんな読み方をしているのだろうかと疑問に思う。

 月に7~8冊と言っても、半分は「ビジネス系」で、半分は小説や哲学などの「非ビジネス=趣味系」である。だいたい、朝はビジネス系、帰りは趣味系と分けている。鞄は重くなるが、何となく朝と夜とで読み分ける事を長年の習慣にしている。朝は仕事に向かうゆえにビジネス系の方がしっくり来るし、帰りはリラックスモードなので趣味系がいい。何となくの気分である。そうして日々読んでいるが、大概の本は読めばその内容を忘れてしまう。なので、ブログに読書記録としてまとめる事で記憶を整理している。振り返ると、読んだことすら記憶に残っていない本があるので、読書記録としては最適である。

 そうした読書記録をしばしば見返しているが、読んだことすら忘れている本は悲しい気がする。それは、「せっかく読んだのにもったいない」という意味と、「己の記憶力が情けない」という意味と2つある。昔読んだ本ならまだしも、たかだか1年前に読んだ本だと後者の意味合いが強い。ブログには、実は同じ本が取り上げられているのもある。読んだことすら忘れてしまい、もう一度読んでも思い出せず、初めてのようにブログに残しているのである。それに気づいた時は愕然としてしまった。せめて、読んでいて気づきたかったと思う。せっかく読んだのに、何も自分の中に残っていないわけである。

 読み終えてブログにまとめるという行為は、やってみると意外といいなと思わされる。読み終えた段階で、再度ページをパラパラとめくりながら付箋をつけたところを中心に整理する。すると、著者の主張も改めてよく理解できる部分がある。そしてブログ内だと検索機能があるので、過去の著作とか、似たような内容の本を引っ張り出すことができる。ブログも今となっては誰かに読んで欲しいという気持ちはサラサラなくなっていて、想定読者は自分だけである。自分だけの読書記録という意味では、無料で利用できて便利である。

 一方で、複数回読んだ本というと、『狼たちへの伝言』『企業参謀』『自分が源泉』などがある。『狼たちへの伝言』は20代に読んだが、著者の落合信彦の生き方、考え方に共感し、かなり影響を受けた。『企業参謀』は、銀行員としてビジネスの見方、考え方の基礎になるものとして目新しく、刺激的な一冊であった。『自分が源泉』は、40代の頃に読んだが、自責の考え方に深く共感するものがあった。いずれもずっと手元に置いておきたいと思い、今も多少埃を被っているが、本棚に並べている。考えてみれば、記憶から消えてしまうものもあれば、ずっと残るものもある。消えたものを嘆くよりも残っているものを喜びたいと思う。

 また、「愛読書」ならぬ「愛読シリーズ」という意味では『逆説の日本史』シリーズがある。もう第1巻は30年近く前になるが、歴史好きという趣向から何気なく手に取り、その内容に衝撃を受け、以来欠かさず読んでいる。出版されれば迷わず購入しており、まだ読み返しはしていないが、いずれ読み返したいと思っている。これも本棚のかなりのスペースを占めている。「迷わず読む」という意味では、「愛読作家」ならかなりいる。小説家では、小池真理子、東野圭吾、浅田次郎、百田尚樹(小説分野)などがいる。こうした「愛読シリーズ」「愛読作家」という意味であれば、自信をもって答えられる。

 本は読み始めれば、最初から最後まできっちり読む方である。ビジネス書などは、パラパラとめくって興味のあるところだけ読むとか、速読とかを勧める人もいる。本の読み方は人それぞれだから異論をはさむつもりはない。ただ、辞書的に読むより、手っ取り早く読むより、自分のペースでしっかり読む方がよいと考えている。著者なりに意味があって書いていることであろうから、その意図を汲みたいという意味合いがある。ただ、どうしても読む意味を見いだせなくなったら、途中で読むのをやめることもある。

 そうして読んできた本であるが、気がつけばそれなりに身についていると実感している。特に会社の経営に関しては、専門的な教育を受けてはいないが、前職に続き現職でもそれなりにやれている。それについては、銀行員時代の経験を除けば読書くらいしか思い浮かばない。有名な経営者の自伝や考え方などのさまざまなビジネス知識が、知らず知らずのうちに身についているのだと思う。読書は今や趣味であるが、実益も兼ねていたわけで、通勤時間を有効活用できていたわけである。いずれ社会人になる娘と息子にもつけさせたい習慣である。

 これからもいろいろな本を読んでいきたいと考えているが、ビジネスにも活かしたいし、何よりも自分自身を深化させて行きたいとも思う。老いて老害や邪魔者になるのではなく、賢老になるにはやはり読書が大事だろうと思うのである・・・

Marisa SiasによるPixabayからの画像

【本日の読書】

  




0 件のコメント:

コメントを投稿