2023年8月20日日曜日

夏休み

 今週は世間的にはお盆で、夏休みの最盛期だったと思う。私はと言えば、8月の第一週にすでに夏休みを取得し、今週は仕事であった。毎年、この時期には夏休みをずらして取っている。それはそもそも私が天邪鬼であるというのが大きいが、みんなが夏休みとあって、通勤電車は空いているし、日頃仕事の邪魔になるセールスの電話はほとんどかかってこないしと、働く上ではいい事づくしのこの時期に働かないでどうするという気持ちからである。今週改めてそれをつくづく実感したところである。


 ところで、今の会社では、あまりみんなが休まないのがちょっと気になっている。夏休みなのに休暇は23日で、土日と絡めてもせいぜい5日程度の連休で終わらせてしまっている。制度的にはもっと取っても構わないし、私などは立場上積極的に1週間以上の連休を奨励している。5日間の休暇なら、月曜から金曜まで取得すれば土日と絡めて9連休になる。そういう休暇の取り方をすればいいのにと思うが、そういう取り方は少数派である。


 試しに何人かに聞いてみたところ、「好きな時に取りたい(9連休にはこだわらない)」という意見が多かった。まぁ、本人の希望通り取るのが一番なので、それがいいならそれが一番である。だが、中には「お客さんに迷惑がかかる(あるいはお客さんの要望)」というのもあったし、何となく「目に見えない空気」というのもあった。これはこれで改善するのが私の役目でもあるだろう。「空気」については、こまめにそういう声を拾うとともに、「会社としての9連休推奨」を声高に強調するしかない。「会社から言われている」というのが長期休暇取得の大きな後押しになるのは間違いない。


 「お客様の声」というのは、個人的には「交渉次第」という気がする。お客さんだって夏休みは取るわけである。そのあたりは「お互い様」な訳で、しっかりと上司も交えて話をすれば十分認められると思う。長年の習慣で、「そういうもの」という思い込みが強く、「休めない」と思い込んでしまっているだけのような気がする。まぁ、まだ私も今の会社は2年目であり、詳細に実情を掴んでいる訳ではないから、少しずつ時間をかけて「休む会社」にしていこうと思う。


 そんな風に私が思うのも、もともと「メリハリ」を大事にする考えだったし、欧米では1ヶ月くらい平気で休みを取ると聞いて羨ましいと思ったこともあり、基本的にはせめて1週間プラスαくらいはしっかり取りたいと思うからである。この時期、いつも思い出すのは、銀行に入って2年目の夏休みの事である。当時も交代で夏休みを取っていたが、それぞれ5日間の休暇を取ることになっていた。しかし、当時の上司は仕事が趣味と公言する人で、私が指定された夏休みは、「水曜から翌火曜日までの7日間」であった。「なんで?」というのが、最初の感想であった。


 当時も土日は休み。月曜から取れば9連休である。なのになぜわざわざ週の真ん中から取るのか。私だけではなく、同じ課の者全員がそうであった。すべて上司が「お前はここ」と有無を言わさず指定する形であった。そして自分は忙しいと言い、「俺がいないと仕事が回らない」と言い、休みにも関わらず、出てきて仕事をするような人であった。「休まないで働くのが美徳」という時代の考え方でもあったかもしれない。しかし、私は納得がいかない。指定されるのはまだいいとして、9連休は取りたい。こっそり先輩に訴えだが、みんな黙して語らずであった。


 先輩は頼りにならない。諦めたくはないし、支店長に直訴すべきほどものでもない。みんなから恐れられていた上司であったが、私は意を決して直接交渉した。「月曜日から取らせてくれ」と。最初は「引き継ぎの必要性」と言われ、ならば「夏ではなく他の時期に」と言うと、「1人違うことをするのか」と言わると「なぜ全員夏でないといけないのか」と反論し、最後は「わがままだと言うのはわかっているが、どうしても月曜日から取りたい」と主張した。上司も最後は根負けして渋々認めてくれた。あとで独身寮に帰り、先輩に伝えたら驚かれた。みんな我慢して諦めていた時代である。


 自分がそういう苦労をしたから、今の会社ではみんなに長く休んでもらいたいと思っている。もちろん、自分も連休を取る。今年は自分の都合で火曜日から月曜日までの7連休だったが、遠慮したのではなくあくまでも自分のスケジュールだからいい。そういう意識だったから、「(7〜9)連休でなくても良い」という意見には拍子抜けしてしまう。「特に予定もないから」と言う一部の若手には言ったのだが、「予定なら作ってこの時期にしかできない経験を積んだら」と思う。


 私も20代の独身の頃は、好きな海外旅行に行ったものである。海外勤務の先輩を訪ねて宿泊費を浮かし、香港、シンガポール、フィリピン等へ行ったのはいい経験であった。海外旅行でなくてもいいから、普段できないことをするというのも、特に独身者にとっては独身の特権として良いことである。特に必要ないという若手にも、そういう話をもっとしていきたいと思う。仕事ばかりで終わっていては、つまらない人間になりはしないか。そういう考えで、社内ではこれからも長期休暇の伝道師となりたいと思うのである・・・

 

PexelsによるPixabayからの画像


【今週の読書】





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