2015年12月19日土曜日

名前とは

夫婦同姓「合憲」、女性の再婚禁止期間「違憲」 最高裁 
「規定自体に不平等なし」「国会で論ぜられるべき」など言及

夫婦の同姓義務や女性の再婚禁止期間を巡る民法の規定が憲法違反かどうかが争われた2つの訴訟の判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、夫婦別姓を認めない規定は合憲、女性は離婚後6カ月以降でないと再婚できないと定めた規定は違憲との初判断を示した。姓を巡る制度は「国会で議論されるべきだ」と指摘した。
日本経済新聞2015/12/16 16:24
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 以前いた職場でのこと、ふとしたきっかけで、同僚女性の「戸籍上の姓」を知った。
その時、ずっと独身だと思っていたその女性が、実は結婚していて職場では「通称」を使っているのだと軽い驚きをもって知った。
まぁこういうご時世だし、違和感はなかったのであるが、私が社会人になった頃にはありえなかったので、世の中の進歩を感じたものである。

 そんな「通称」では満足できなかったのが、今回の訴訟なのだろう。
個人的には「そこまでする?」という感じだが、そこまでする必要があると言われればそれまでである。我が家はといえば、結婚する時、妻は私の姓になることに、抵抗どころか喜びを感じているように感じられた(もっともそう感じただけかもしれない)。
個人的には夫婦別姓をする必要はないと思っている。
嫌なら籍を入れないという方法だってあるし、それだと「内縁」関係になって、法律上の保護が得られないとなりそうだが、それは遺書なりなんなり工夫でできるような気もする。

 アメリカなどでは両姓を名乗れるようで、その昔ファンだったファラ・フォーセット・メジャーズは、自身のもともとの名前は「ファラ・フォーセット」で、「メジャーズ」は旦那さん(リー・メジャーズ)の姓だった。
日本ではどうだろうかと考えてみるに、例えば「伊藤・佐藤太郎」なんてなったらおかしいし、別姓導入賛成派もたぶんそこまでは望んでいないだろう。

最近は「通称」も普通になってきたし、個人的には構わないような気もするが、結婚はともかく離婚して旧姓に戻った場合、いろいろ煩わしいことがあるようだし(たとえば離婚したのに、結婚して姓が変わったと勘違いされるとか・・・)、一概に「不要」とは言いにくものもある。
さらに「家名が途絶える」ということもある。

「家名」については、「家制度」の名残だろうが、代々続いてきた(その代々も実は怪しかったりするが)家名が途絶えてしまうという気持ちはわからなくもない。
事実、我が家も息子が生まれた時に思ったのが、「これで家名が存続する」だった。
今でも学生時代のラグビー仲間が奥さんの姓になっているし、そういう「家名存続」に対する思いは、我々日本人の根底にあるだろう。

夫婦別姓反対論者の意見として、「子供がかわいそうだ」というのがあった。
「兄弟で姓が違ったらかわいそうだろう」というものだが、それは説得力に乏しい。
というのも、それなら既に過去に大量に例があるからだ。
この夏に亡くなった伯父は、子供の頃、別姓だったという。
次男だった伯父は、どこかの知り合いの家が子供に恵まれず、養子になったというのである。
(その後どういう経緯で元の姓に戻ったのかは知らない)
今更「かわいそう」はないだろう。

夫婦別姓が認められたら、長男は「伊藤太郎」、次男は「佐藤二朗」、その下は「伊藤花子」なんてなるのかもしれない。
だが、一人っ子だったらと想像の翼を広げるときりがない。
夫の姓を名乗らせるならともかく、妻の姓にしたらなんとなく一悶着起こりそうな気がする。

そもそもであるが、今回の訴訟は、「民法の規定は違憲だ」という内容であった。
違憲か否かと問われたのが争点なのだが、そう聞かれれば、「合憲」というのもおかしなことではない。それよりもアプローチを間違えてないかという気がする。
「憲法解釈」で訴えたるよりも、ズバリ法改正を訴えるべきではないかと思うのである。
誰か理解のありそうな女性議員を説得し、「民法改正」というアプローチを目指した方が、正道な気がする。

考えればこの問題きりがない。
ただ、「別にいいんじゃないの今のままで」という私のような意見は、「男の側からの意見」である。それを切実に必要だとする人がいるなら、否定するのも違う気がする。
そもそもこの問題が出てきた背景にあるのは、やはり女性の社会進出だろう。
そうした女性たちが「必要だ」というのであれば、認める方向に持っていくべきなのかもしれない。


「伊藤佐藤太郎」はともかくとして、夫婦が話し合って決めるのであれば、その自由に法律のサポートがあっても良いかもしれないと最後に思う次第である・・・

【今週の読書】
 
       

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