2011年11月25日金曜日

円高について

ここのところ円ドル相場は1ドル77円くらいで推移している。
随分と円高になったものである。一時はマスコミも政府に対し、円高無策と随分批判していたが、高止まりが続く今ではもうそんな声も聞こえてこない。円高が悪者扱いされていたが、果たして円高は日本にとって良いのか悪いのか、と考えてみた。

先日、メーカー勤務の人がとにかく円高対策が必要だと語っていた。
もちろん、彼にとっては会社の業績=自分の給与となるわけで、そうした立場から円高悪者論に与する気持ちはよくわかる。マミコミは大企業から広告料をもらっているから、大企業寄り(つまり円高悪者論)となるのは当然の事。そんなマスコミの言動を無批判に受け入れてはいけない。しっかりと考えてみないといけないところだ。

そもそも円高とは、日本の円が他国の通貨に対して強くなる(=価値が高くなる)事だ。
それがどうして悪いのかというと、輸出した時に円の手取りが減ってしまうからだ。
今まで1ドルで売って100円手に入れていたのが、76円に下がってしまうわけだから、輸出企業はたまったものではない。

しかし逆に見ると、1ドルのものを輸入して(買って)いた人は、100円ではなく76円で良くなるわけだから、お得なわけである。海外旅行も然り。
昨年我が家はグアムに行ったが、その時使ったドルを合計して、5年前に行った時の相場に換算してみたところ、トータルで2万円安かった事がわかった。
家族でちょっと豪華な夕食が食べられる。
何もせずに2万円も違うのはけっこう大きい。

2年前に原油価格が高騰し、1バーレル100ドルを越えて大騒ぎになった事があった。
我が家もガソリンを入れに行って、いつも1回あたり5~6,000円だったも
のが、8,000円近くなって驚いたものだ。実は今また原油が1バーレル100ドル前後になっているが、大騒ぎにならないのは円高だからである。当たり前だが、円高にはメリットとデメリットがあり、冷静に比較してみないとどちらが良いのかはわからない。

もちろん、立場によっても異なるだろう。
輸出メーカーに勤めている人からすれば、円高はとんでもないことであるし、私のような消費者からすると、むしろメリットの方が大きい。
メリットを受ける人とデメリットを受ける人はどっちが多いのか、という問題になると、日本のGDPに占める輸出の割合は、実は2割に満たないらしい。
そうすると、自ずから答えは見えてくるような気がする。

要は立場によって違うのだから、自分の立場から発言すれば良いのではないかと思う。
輸出企業に勤めているわけでもない内需系の飲食店経営者が、「円高に対する政府の無策はけしからん」などと新聞の受け売りを声高に発言しているのを聞くと、「ホントにわかって言ってるのだろうか」と思ってしまう。
あなたが売っているイタリアワインは、円高で安く仕入れられるんですよと問いたくなるのである。いや、ひょっとしたらわかっていて、なおかつ言っているのかもしれないが・・・

そんな声に後押しされてか、政府も思い出したようにドル買い円売り介入するが、この介入が一時の効果しかない。
買ったドルはみんな米国国債に化けて含み損が積み上がっていく。
みんな税金なのに・・・

「みんなの意見とは不平不満を抱えているやつの意見だ。満足している人は意見を言わない」とは、いつも私がチェックしているブログに載っていた言葉だ。円高にも大いに当てはまる気がする。幸いこのブログは自分の自由な意見を書き込めるわけだし、個人的な立場からいくと、円高けっこうではないかと思う。また風向きが変われば、意見も変わるかもしれない。

だが当分の間は、円が強いと言う事を素直に歓迎したいと思うのである・・・


【本日の読書】

40代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則 - 大塚 寿  フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) - デビッド・カークパトリック, 小林弘人 解説, 滑川海彦, 高橋信夫




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