2025年2月9日日曜日

会社目線で判断してほしい

 最近、会社では経営メンバーの育成を図っている。経営も社長1人でやるよりも複数の幹部でやる方がいい。取締役だけでなく、部長レベルまで含めたいと考えてのことである。そしてこの4月から、かねてから部長に昇格予定だった者の昇格について議論した。結論としては「見送り」であった。残念ながら期待値に達していないと。4人の取締役全員一致の結論であった。それぞれ見方は違ったかもしれないが、結論として異論が出なかったので、みんなそれぞれ物足りなさは感じていたのだろう。

私が感じたのは、「会社目線で行動できない」というところであった。以前、「経営者目線で働くということ」というところでも考えた事に似ているかもしれないが、要は「自分の都合でなく、会社の視点から考えられるか」という事である。例えばある仕事を頼まれたとする。個人的にはあまりやりたくない。難しいというところもあるし、できればプレッシャーのある仕事は避けたい。これが普通の「自分目線」である。それが会社目線だとどうなるか。

そこで会社の立場に身を置いて考えられるか。すなわち、その仕事をやる会社としての意義である。十分意義があり、社内を見回しても自分しかいない(あるいは自分に話があるのも無理はない)となれば、嫌だという感情を抑えてやるしかない。そういう判断ができるかというと、彼はまだできない。実際、最近そういう重要な仕事を固辞し、説得に時間がかかってしまった事があったのである。それ以外にも「自分はまだまだ」と後ろに下がるケースが散見されるのである。

よく言えば謙虚であるが、部長職を任せるには謙虚もほどほどでないといけない。会社としてはもう1人部長職を作りたかったのであるが、無理に昇格させても後が大変だと考え、泣く泣くの決断である。その彼もまったく会社目線で行動できないというわけではない。事実、別の機会に課長への昇格者を決めたところでは、きちんと会社目線で判断できているのである。自分より下位については鳥瞰できるが、問題が自分のレベルになると途端に自分目線になってしまうのである。

課長人事については、抜擢も含む人事であった。中小企業の悲しさゆえ、管理職となる課長候補がたくさんいるわけではない。どうしても限られた中から抜擢せざるを得なかったが、少し背伸びしてもらう必要があったという次第である。面白い事に、その1人は「自分はまだまだ、自信がない」と固辞したため、当の彼が「きちんとサポートするから」と説得に回っていたのである。もう少し視野を広くして自分にも当てはめてほしかったところである。

会社目線で考えられれば、社長すら一つの役割である。必要とあれば社長にも動いてほしいと要求できるようになる。現に営業担当の取締役は年初の挨拶に社長を連れ回していた。「今後のために一緒に挨拶に行ってくれ」と。そういう会社目線で見て判断できるメンバーが増えてきたら、経営の意思疎通、意思決定が早くなると思う。今後は管理職すべてが会社目線での判断力をつけてもらえるようにしていかないといけない。“For the team”の意識とでもいうのであろうか。そこに向けて尽力したいと思うのである・・・

Danny ChangによるPixabayからの画像

【本日の読書】

刑事捜査の最前線 (講談社+α新書) - 甲斐竜一朗  人間の証明 勾留226日と私の生存権について - 角川歴彦







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