ラグビーをやっていると怪我はつきものである。大きいものから小さいものまで常にどこか痛い場所があると言っても過言ではない。還暦を過ぎた今もラグビーをし続けているが、怖いのはやはり怪我である。それも仕事に支障のあるような大きな怪我である。それでもやっているのは、「楽しいから」という気持ちが怪我に対する恐怖心を上回っているからであるが、安易に「自分は大丈夫」と根拠なく思い込んでいるだけではなく、一応気をつけてはいる。平日も仕事から帰ってきて筋トレをしたり、走ったり。毎週の練習は欠かさず出席したり。来年は一層年代別の試合に出場することを徹底しようと思う。
高校時代はまだ土の(というより砂利に近い)グラウンドであった。なのでひじやひざ、ボールに飛び込んだ時に大腿部の横にできる通称「ハンバーグ」という擦り傷が絶えた事がなかった。かさぶたができてもすぐ練習で取れて血が滲む。そんな事を繰り返したせいか、今でも傷跡があちこちに残っている。ただ、それは「怪我」のうちには入らなかった。今は芝生のグラウンドも一般的になってきているので、さすがにそういう擦り傷は激減している。何となくそれだけでも現代のラグビー環境はありがたいと思う。
そんな小さな怪我ばかりであればいいが、生活に支障の出る大きな怪我もなくはない。大学の後輩も2人ほどそういう大きな怪我をしてしまっている。障害者手帳をもらうような大きな怪我はさすがに怖いと思う。経験のあるいい選手だっただけに、「下手だから」怪我をするわけでもない。有名大学の有名選手も大きな怪我でラグビー人生を絶たれたりしている。その時々のタイミングなのだろう。運が悪かったとしか言いようがないのかもしれないが、なるべく怪我をしないように、せめて練習を欠かさぬようにしようという思いでやっている。
私自身はと言うと、幸いにして比較的大きな怪我は1度だけである。大学4年の公式戦開幕戦で、左肩を脱臼して救急車で運ばれた事である。脱臼するとあんなに痛いものだとは思いもよらなかったが、その後公式戦を何試合か欠場しなければならなかったのがもっと痛かった。ラグビーは痛いところがあってもテーピングをしたりしてごまかしながらやるのが当たり前であるが、さすがに満足に肩を上げられない状態だとみんなの足を引っ張るだけなので欠場を選択したが、最後のシーズンだっただけに実に悔しい思いをしたのである。
大学を卒業し、社会人になってもラグビーは続けた。社会人ともなると、下手に怪我をして仕事に支障をきたすと非難される事になる。「自己管理がなっていない」という事である。「怪我をするような事を社会人になってもやっているのか」というプレッシャーは常にあった。せめてもの救いは勤務先の銀行のラグビー部でやっていれば、万が一に怪我をしても「会社が認めた活動」という言い訳が多少できるくらいであった。それでも仕事のために怪我を恐れてラグビーをやめるという「良い子」になるつもりは微塵もなかった。
社会人になって、実は左足の靭帯を切る怪我をしたことがある。幸いな事に「後十字靭帯」だったので、手術不要で一定期間の固定だけであった(初めてギブスをした)。どうしてもびっこを引くことになるが、支店の同僚に見つからないようにわざわざ駅から支店まで人通りの少ない裏道を遠回りして通った。支店内では「打撲」でごまかした。考えてみればそのくらいしかない。怪我をする人は頻繁に怪我をしているし、入院して手術が必要な怪我をしている人もいる。そういう人から比べると、私は怪我をしにくいタイプなのかもしれない。
シニアとなった現在も怪我の回復が極端に遅くなっているのを自覚しており、無理はしないように心掛けている。ともすれば多少痛くても試合には支障がないと考えてしまう自分がいる。「三つ子の魂百までも」ではないが、試合を休むことに妙な抵抗感があって、このくらいの怪我なら出られると考える自分がいるのである。休んでもいい怪我とそうでない怪我という基準が自分の中にあって、気持ち的には「出られる」と思っても、今はもう無理せず欠場を選択してするようにしている。
そんな感覚があるからなのかもしれないが、ちょっと具合が悪いからと仕事を休む人に対しても違和感を感じてしまう。私は小学校から高校まで無欠席であったし、大学も病欠の記憶はない。仕事も早退は何回かあったが、やはり病欠はない。多少具合が悪くても「休む」という感覚がない。まぁ、インフルエンザのように他の人にうつす危険性がある場合はこの限りではないが(そのインフルエンザも罹った記憶はない)、多少具合がわるくても休もうと思わないのは、怪我で試合を休まない感覚に近いかもしれない。もっとも、休みたくなるほど具合が悪くなった経験が少ないという事もあるかもしれない。
それでもこれからは意図的に考え方を変えていこうと思う。還暦も過ぎれば細胞レベルで体も劣化しているだろうし、若い意識での過信は禁物だと思う。これからはラグビーでも仕事でも「体優先」で行きたいと思う。精神論だけではなく、「いたわり」も必要であろう。「己の体に優しく」を大事にしていきたいと思うのである・・・
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PrawnyによるPixabayからの画像 |


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