はじめてパソコンを買った頃の話である。親戚の叔父に「パソコンなんて買って何するんだ?」と問われたのを覚えている。日頃から皮肉屋で嫌いな叔父であったが、「何がパソコンだ」という批判がその言葉に込められていた。私は、と言えばこれからはパソコンが必須の時代になるので、早目に手にして慣れておこうと思ったのである。まだインターネットを少し眺めてみたり、メールのやり取りをしたりという程度であったから、それを聞いた叔父には鼻で笑われた。しかし、パソコンは世の中に浸透し、叔父も使うようになった。そして私も早目に手を出した効果は十分にあった。
今ではスマホもかなり普及していてパソコンよりもスマホという時代なのかもしれないが、それでも仕事でも勉強でもパソコンがないと始まらない。今年大学に入学した息子も、自分専用のパソコンを買うか買わないかではなく、「何を買うか」で迷う状況であった(結局surfaceにした)。「パソコンなんて買って何するんだ?」なんて問うた叔父であるが、今その質問を振り返ればいかに愚かであったかがわかるだろう(そう言えばパソコンに向かっていれば仕事してると思ったら大間違いだぞと言う上司もいた)。
今、世の中でAIやChatGPTが話題となっている。私も「ChatGTPで何をするんだ」という状態であるが、それでも一時の流行りで終わるものではないだろうし、少しずつ使っていこうと思っている。使っていくうちにいろいろと使い方がわかってくるかもしれない。ただ、今のところはその時々で思いついた質問を投げかけている程度である。たとえば、「社員がメンタル不調になるのを防ぐにはどうしたらいいか?」とか、「社員との人事面談で何を聞いたらいいか」とか。それなりに教科書的な答えが出てきて、特に得るものはないが、確認程度にはなる答えが得られている。
ふと思いついて、「坊ちゃんの読書感想文を書いて」と入れてみた。その結果はそれなりの内容のものが出てきたが、ちょっと小学生が夏休みの宿題にズルして出すには大人過ぎるものである。しかし、そこでさらに「小学生用に」とお願いしたらそれらしいものが出てきた。これなら夏休みの読書感想文の代わりになる。書き写すだけなら20分もあれば「一丁上がり!」となる。工作なんかの宿題には対応できないが、工作のヒントなら与えてくれる。「夏休みの自由研究に何をしたら良いか?」と問えば、各種の例を挙げてくれるから、お父さんもお母さんも助かるかもしれない。
ズルして読書感想文の原案を作ってもらう事はもちろん良くないことである。何よりも宿題の目的は「感想文を書く」事ではなく「本を読む」事であろうから、その目的を達成していない。しかし、ズルをする子は今でもあらすじだけ読んでそれらしい感想文を書いている(我が息子ももしかしたらやったかもしれない)から、それが時代にあわせて「進化」したとも言える。ズルではなく、「ChatGPTを使うという頭を使った」と言うなら、言えなくもない。「本を読む」という先生の意図からは逸脱するが、「使えるものを使って効率的に結果を出す」という意味では1つの成果なのかもしれないという気もする。
一見、ズルかもしれないが、考えようによっては使った方がいいかもしれないとも思う。まずはきちんと読むことが前提となるが、読んだ上で感想文の一例とするなら、書き方をも学べるという効果が得られるようにも思う。ただ使うのではなく、自分のためになる効果的な使用ができるのであればむしろ使用を推奨しないといけなくなるだろう。そうしたところで、ChatGPTの効果的な利用方法を「本人」に聞いてみたが、返ってきた回答は下記の通り。
1.情報検索や調査2.学習支援3.クリエイティブなサポート4.コーディングと技術サポート5.日常生活のサポート6.言語学習7.メンタルヘルスとセルフケア
何にせよ、時代はAIの時代である。それに背を向けていると今に「使えない爺さん」になってしまうだろう。それはかつて「パソコンなんかで何をするんだ?」と言っていた叔父のように思われてしまうだろう。精神の老化現象に見舞われないように、そこは自分で意識していきたいと思うのである・・・
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