先日、高校のOBチームで試合をした。相手は毎年定期戦をやっている別の高校のOBチーム。試合は勝ち負けをガチガチに競うというより、親善的な要素の色濃いもの。試合に出る者には80代(紫パンツを履く)もいれば70代(黄色パンツを履く)もいる。私もルールに従い、今年から赤パンツ(数えで60代)の仲間入りをしたが、上の世代とまともにやっては怪我人が出てしまう。そこでいつも緩和ルールを敷いている。「楽しいラグビーをしよう」とみんなが言う。しかし、私はいつも「楽しいラグビーってなんだ」と思う。「普通に激しいコンタクトをするラグビーは楽しくないのか」と。
ラグビーは激しいコンタクトを伴うゆえに、試合が終われば大きな怪我をしなくても普通にあちこち痛むもの。ゆえに連戦などとても難しい。せめて2週間くらいの間隔は欲しい。先日開催されたラグビーのW杯は、1週間間隔だったから、選手はさぞかしキツかったと思う。しかし、そこから得られる満足感はそれゆえに格別である。コンタクト制限したラグビーは、確かに「痛くはない」かもしれないが、そういうラグビーをやりたいか、見たいかと問われると、やはり答えはNOである。ラグビーはコンタクトを伴うからこそ面白いのである。
また、別の日、私は所属するチームの定期戦に出場した。その日は赤黄パンツの試合と、白紺パンツ(白は40代以下、紺は50代)である。私は赤黄の試合に出たのだが、赤同士の試合は拮抗していたが、後半は相手が黄パンツメンバーが中心になると、俄然我々赤パンツチームが圧倒した。相手を抜くと簡単に振り切れるし、相手の当たりを止めるのも容易。こちらのダメージも少なく、私自身トライを2本も取ることができて、それなりに「楽しい試合」であった。相手が弱かったと言えばそれまでであるが、人間はどうしても老化は避けられない。黄色パンツの人たちもかつてはもっと手強かったはずである。年齢を経て力が衰えたのである。それは当然のことであり、だからラグビーは年齢別で試合をするのである。
その日、メンバーの関係で私は紺白の試合にも後半だけ出場した。相手は抜くよりも当たって崩すタイプのチーム。味方もタックルに行くが次々に跳ね飛ばされてトライを取られていった。見ているうちに沸々としたものが心に湧いてくる。怪我人も出たりして、最後の後半にメンバーが足りないとわかると思わず手を挙げていた。試合は案の定、ディフェンスに終始。正面からタックルに行くが、フォワードの選手とは体重差もあり跳ね飛ばされる。それが1本、2本と続く。ますます闘志が湧き、本来はフォワードの選手が行く場面もそれを押し除けてタックルに行った。
それで試合結果が覆せるほど甘くはなく、チームは大敗した。しかし、私には満足感が漂っていた。気持ちよく「負けたぁ〜!」と叫べる試合とでも言えるだろうか。初めに出た赤黄相手の試合より、トライを2本取るよりも、私にとっては「面白かった」と言える試合であった。これが「楽しいラグビー」でなくて何が楽しいラグビーなのだろうかと思う。人によって「楽しいラグビー」の定義は様々だ。学生や社会人でやり切って、もう体力もないと早々に現役を退く人もいれば、紫のパンツを履いて頑張る人もいる。それぞれに「楽しいラグビー」の定義があるのだろう。
コンタクトのない「痛くないラグビー」が楽しいという人もいるだろう。高校のOBチームの親善試合では、「怪我しないのが一番」という合言葉でやっている。それはそれでいいのである。私にとっては違うけれども、まぁ「練習の一環」だと考えれば十分許容範囲内であり、「こんなのは楽しいラグビーとは言えない」などと言って空気を壊すほど大人気なくはない。いずれ自分も体の老化が進み、今のようにコンタクトができなくなったら、「楽しいラグビー」の定義も変わるかもしれない。それまではコンタクトのあるラグビーを楽しみたい。今の「楽しいラグビー」を心から楽しもうと思うのである・・・
Patrick CaseによるPixabayからの画像 |
【本日の読書】
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