銀行員時代の若かりし頃、2年目に初めての転勤で配属となった支店の集まりがこの週末にあった。当時の支店のメンバーが約20人ほど集まり、私も声をかけてもらって参加したのである。その支店にいたのはもうかれこれ30年ほど前のことになる。流石に30年も経つと、支店長をはじめとして上の方にいた方達はもう70代も後半。当時若手だった私も50代半ばであることを考えるとそれも当然である。世間的には、もうベテランの部類に入る私が、まだまだ「若手」の集まりである。
当時私は、銀行に入行して2年目のヒヨっ子。上司の指導を受けながら、銀行員としての基礎を学ぶ日々であった。そんな当時を懐かしく思いながら、参加した皆さんと歓談。当時はまだパソコンなどなく、融資の稟議書も手書きであった。当然、携帯もない。当時の支店は今はもう残っていない。金融危機を境とした銀行の合併の波の中で、支店統廃合により駅に近い合併した銀行の店舗に吸収されてしまったのである。我々が毎日通っていた店舗跡地には、今マンションが建っている。そんな話も当然ながら出る。
酔いが回ったのか、当時支店No.2だった次長が出席していた女性の隣に座り肩に手を回す。完全なセクハラであるが、当のご本人にはそんな意識はない。今だったら大問題になるだろうが、古き良き時代と言ったら女性に怒られるだろうが、次長の意識はまだあの頃のままなのだろう。でもまだそんなのは可愛い方で、お尻を触られるなんてのもよく見かけたものである(一応、当時であっても私には自尊心があって、お尻はさわれなかったし、肩にも手を回したことはないと記憶している)。
また、当時はまだ年功序列の色彩が強く、若手は上司に誘われたら黙ってお供をするものであった。当時の私の上司はいい方であって誘われても抵抗はなかったし、そもそもそれほど誘われた記憶はないが、取引先係などは連日係全員で係長に率いられて繰り出していた。それはアフターファイブの宴会と言うより、仕事の延長というものであった。私などは当時既にへそ曲がりであったから、仕事の延長の飲み会などというものは基本的に断っていたものである(それも出世できなかった遠因だろうと思う)。
いろいろと腹の立つこともあって、随分ストレスもあったと記憶しているのであるが、そんなことはもうみんな忘れてしまっている。覚えているのは、若手だけでみんなで旅行に行ったりした楽しい思い出である。取引先との楽しい交流も然り。係内で夕方、シャッターが降りると後輩に飲み物を買いに行かせたりしていた(もちろん、後輩の分はオゴリである)。飲み会と行っても、若手だけで行くのは楽しかったから、よく上の人たちの目を盗んで行ったものである。カラオケ店なんてまだなくて、カラオケ目当てに行ったのはいわゆるスナックだった。
嫌な思い出は昇華され、残っているのはいい思い出ばかりである。考えてみれば、みんなそうなのかもしれない。参加した人たちの近況を聞くと、あちこち具合が悪くなっている人たちもいて、次に会うのは何年先かわからないが、もしかしたらもう会えない人もいるかもしれない。そんなことすら感じさせられるが、「嫌な人」というイメージの人はいなくて、また次回も呼んでいただきたいと幹事の方にお願いして帰路についたのである。
我々が働いていたあの店舗はもう記憶の中にしか存在しない。いずれそこに銀行の店舗があったことなんて記憶している人もいなくなるのであろう。それは我が家のある場所にしても、100年前にはどうだったかなんて知る由もないのと同じである(まぁたぶん田んぼだったのだと思うが・・・)。また次回もぜひ参加したいと思う。クラス会にしろこうした集まりにしろ、これからも積極的に参加していきたいと思う。それは自らの存在証明みたいなものなのかもしれない。
【今週の読書】
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