先日のこと、いつものように毎週末恒例の映画として『トリプルX:再起動』を観始めた。するとクレジットには中国系の映画会社の表示があり、冒頭に出てくるサミュエル・L・ジャクソンとネイマールが会話をしている場所は中華レストランであった。それを見た瞬間、「ああこの映画もか」と思ってしまった。最近、中国系資本のハリウッド進出が目につくようになってきていると感じているからである。
映画自体はハリウッド制作で、主演はヴィン・ディーゼルなのであるが、レストランの他には準主役級で香港俳優のドニー・イェンが出演していることも含め、かなり中国臭のある映画であることは間違いない。また、2015年の映画『オデッセイ』では、火星に1人取り残された主人公を救助するためNASAがロケットを打ち上げようとして失敗するシーンがある。このNASAのピンチに救いの手を差し伸べたのは中国のロケット。そしてその協力もあって何とか火星に救助船を送れたのである。単に名前だけPRするのではなく、技術力も誇っているかのようなシーンであった。
さらに2016年の映画『インデペンデンス・デイ リサージェンス』では、主人公の向こうを張って登場する女性パロットは美人の中国人であった。数え上げればキリがないが、何となく中国が意図的にハリウッド映画に進出しているような気がする。日本人や日本がハリウッド映画に登場するのももちろんあるが、それとはちょっと違う気がしてならない。
詳しい裏事情を素人が知る由もないが、かつて日本がバブル景気で浮かれていた頃、アメリカのメジャーな不動産を次々と購入してその勢いを誇示し、顰蹙を買った日本勢。今、我が国に代わり世界第2位の経済大国となった中国がアメリカでやっていることは、顰蹙を買いそうな不動産投資ではなく、好感度を育みそうな文化投資(とでも言うようなもの)のような気もする。気がついたら、いつのまにか中国に好イメージを抱いているという戦略である。
そう言えば、我が国からアメリカへ留学する人が激減しているのを横目に、今中国人留学生が激増しているそうである。そうした留学生が得るのは知識ばかりでなく、人脈。今アメリカ人を友人に持つ中国人が増えているという話も聞いている。資本主義と共産主義という国家体制の違いはあれど、友人の数から言えば我が国より中国の方が多いということは、何となく背筋が寒くなるものがある。
中国がこうしたアメリカ進出を前向きな理由(もちろん「我が国から見て」であるが)であれば問題はないが、尖閣諸島でいまだ火種がくすぶっている状態であるし、ここで最大の障害であるアメリカを手なずける遠大な戦略だとしたら恐ろしいものがある。これが素人の邪推であれば良しであるが、どうなんであろうと思う。
それにしても、エンパイアーステイトビルを買って有頂天になっていた国と、映画界に進出してイメージアップを図る国と、同じ進出意図があってやっているとしたら、その差は歴然である。我が国も唯一ハリウッドで頑張っているソニーピクチャーには、是非とも我が国のイメージアップになるような作品供給に期待したいと思ってしまう。
まぁそんなよくわからない裏事情などを気にすることなく、映画は映画で何の気兼ねもなく楽しみたいと思うのである・・・
まぁそんなよくわからない裏事情などを気にすることなく、映画は映画で何の気兼ねもなく楽しみたいと思うのである・・・
【本日の読書】