三菱自動車が燃費のデータを偽装していたことが発覚し、大きな問題となっている。そういえばフォルクスワーゲンも排ガスのデータを偽装していて大問題になったが、厳しい競争の中、そんなに簡単に性能アップができるわけもなく、結局はごまかしに走ってしまうのであり、それは「大企業だから大丈夫」ではないことの十分すぎるほどの証である。
個人的に社会人になって13万円で初めて己の愛車となるマーチを買って以来、日産⇨トヨタ(2台)⇨マツダと乗ってきていて、三菱には乗っていない。たまたまと言えばたまたまであるが、「空飛ぶタイヤ」事件以来は意図して「三菱だけは」避けている。それは多分これからも一生変わらないだろう。
企業の不祥事は珍しいことではないが、「空飛ぶタイヤ」事件はひどいと思ったし、それに対する怒りと共に、こう言う企業は多分変わらないと思ったことがその理由である。そしてそれが正しかったことが、2004年とそして今回とで証明されたことになる。これでもかつては大銀行に勤めていたから、大企業の「企業風土」というものはよくわかっている。一旦染みついたものは、そう簡単には拭えるものではないのである。
今回の原因は、担当部署の部長が指示したと伝えられている。相川社長は知らなかったらしいが、たとえそれが事実であったとしても、もしも相川社長が問題の部長職にあったら指示しなかったかというと、そうは思わない。そしてそれこそが「企業風土」なのである。それが証拠に、たとえ部長がすべての原因だったとしても、一人ではできないだろう。当然、指示を受けてそれに従った社員がいたわけである。
指示を受けた社員は、当然「そんなことしていいのだろうか」と心の中で思ったに違いない。あるいは「いいんですか?」と聞いたかもしれない。もう一歩進めて「それはまずいんじゃないですか」と異を唱えたかもしれない。しかし、部長に「いいからやれ」と言われて従ったのであろう。もしかしたら「できません」と答えた気骨ある社員がいたかもしれない。しかし、そうした社員は外され、素直に従う社員が実行したのであろう。
今回の不正もいつから始まったのかはわからない。しかしおそらく昨日今日の話ではないだろうし、他にも似たような話はあるだろう。気骨ある社員は低い評価を受けて本流からは外れ、「素直に従う」社員が評価されて上に行く。それを見ていた社員は、「何を優先するべきか」を理解し、疑問ある指示にも異を唱えず従う風土ができていくわけである。
「正直者がバカを見る」世界の完成である。
指示を出した部長は確かに悪いが、たとえ他の人がその部長職に就いていたとしても結果は同じだろう。部長にしてみれば、性能アップに対する要求に答えられなければ自分の評価に関わるわけだし、そこは素直にできませんとは言えなかったのであろう。何でも社内では、「CFP(カスタマー・ファースト・プログラム)」という社員の意識改革活動をやっていたというから滑稽である。優先されるべきは顧客と言いつつ、それはあくまでも「建前」という意識風土だったのであろう。
間違いなく言えることは、これは「一部長の犯罪」ではないということである。それは「空飛ぶタイヤ」事件とそれに続く「リコール隠し」、そして今回と長年不正が続いてきていることが何よりの証である。事態を受けて三菱自動車は大打撃であり、今度こそ倒産か身売りかと噂されている。まぁ、どうなろうとこれからも三菱自動車グループの車を買うことはありえないからどうでもいいことである。
それにしても、三菱自動車だけが悪いかと言えばそうではないだろう。そして東芝もそうであったが、上司の指示に「素直にしたがう」社員がいる限り、どこにでも起こりうることである。しかし、自分の出世と引き換えに正義を貫けるかと問われると、YESと答えられる人はどのくらいいるであろう。問題が発覚しなければ、「正義の人」は一生社内の日陰者で終わり、年下の部下に使われてしがないサラリーマン人生を終えるわけである。それを考えれば、YESと言えるかどうか、自分でも自信がないというところが正直なところである。
結局、そういう企業風土の会社には関わり合いを持たずにいくしかないが、車ならできるがそうでない商品の会社であれば、ちょっと怖いなという気がする。
子供達にはそういう会社に入って欲しくないし、外からわかれば避けられるかもしれないが、わからなければ祈るしかない。
願わくば、そういう会社に関わり合うことなくやっていける様でありたいと思うのである・・・
結局、そういう企業風土の会社には関わり合いを持たずにいくしかないが、車ならできるがそうでない商品の会社であれば、ちょっと怖いなという気がする。
子供達にはそういう会社に入って欲しくないし、外からわかれば避けられるかもしれないが、わからなければ祈るしかない。
願わくば、そういう会社に関わり合うことなくやっていける様でありたいと思うのである・・・
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