タワーマンション使った節税、国税庁「チェック厳しく」
タワーマンションを使った相続税の節税をめぐり、国税庁が行きすぎた節税策がないかチェックを厳しくするよう全国の国税局に指示したことがわかった。「著しく不適当」なケースは個別に評価し直す、という通達の規定があり、全てのタワーマンションの相続について適用するかどうか検討する考えだ。(朝日新聞デジタル)
2015年11月3日(火)
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仕事柄、この手のニュースには自然と反応してしまうのだが、「やっぱりな」というのが最初の感想である。タワーマンションを使った節税というのは、我々庶民にはあまり縁のないことであるが、富裕層の相続税の節税手段としてここのところ注目を浴びているものである。マンションの固定資産税は、フロアーの違いに関係なく、「各階一律同じ」。
ところが、価格は「上に行くほど高くなる(傾向がある)」。
そのギャップを利用したものである。
例えば、30階建てのタワーマンションがあるとする。
同じ広さの部屋であっても、実際の価格は、1階だと5,000万円だが30階だと1億円ということがある。1億円の現金を持っているお金持ちは、そのままだと相続税は1億円分かかる。
ところがマンション(不動産)を買うと、その評価額は固定資産税評価額となる。
そして大概、固定資産税評価額は時価よりも安いので、不動産を買うだけで資産を圧縮できるというメリットがある。
さらに、このマンションの固定資産税評価額が、1部屋3,000万円だとすると、それは「1階でも30階でも3,000万円(広さが同じとして)」ということになる。
となると、1階の部屋を買うと5,000万円が3,000万円(の評価額)になるが、30階だと1億円が3,000万円になるのである。現金だと1億円分の税金を払わないといけないのに、このマンションの30階の部屋を買えば、3,000万円分の税金で済むわけである。
タワーマンションほど、この「ギャップ」は大きく、税理士などが一生懸命お金持ちにアピールしているのである。
昨今のマンション価格の高騰は、東京オリンピックを背景にした建設ブームもあるかもしれないが、こうした投資熱の影響も大きいと思う。
そんな「節税」に、国税も目をつけたというのが、冒頭のニュースである。
酒税のギャップをついて、ビールメーカーが涙ぐましい努力をして発泡酒や第3のビールを出せば、国税は来年度の税制改正で酒税改正(引き上げ)を検討しているという。
まぁ、お国も苦しい台所事情を抱えているから、少しでも「取れるところから取ろう」と思うのだろうが、なんとも言えない。
ただ、ビールは一般の人の反発も強いだろうが、タワーマンション課税で困るのはお金持ちくらいだろうから、庶民としては痛くもかゆくもない。
どうぞご自由にという気楽さがある。
しかし、一方で巧みな課税逃れをしているアマゾンなどの多国籍企業に対して、指をくわえているのは如何なものかという気がする。
これについては、アメリカ政府との関係もあるから「指をくわえている」わけではないのかもしれないが、「そっちを頑張ったら」と言いたくなるのが人情というものだろう。
タワーマンションに対する「不均衡」が是正されたら、マンション投資の熱も冷め、それが価格高騰の是正につながるとしたら、それはそれで歓迎すべき事態なのかもしれないが、果たしてどうであろう。よく実際のタワーマンションの部屋を見る機会があるが、高層階の部屋からの眺めは確かに素晴らしく、毎日こんな景色を眺める生活も悪くないと思う。けれども一方で、そんなに高い所に住むことに対する漠然とした不安感を覚えるのも事実である。正直言って、「一時的ならともかく、こんな高層階にはずっと住みたくない」と個人的には思っている。
まぁ心配しなくても、住むようなことにはならないからいいのであるが、決して「すっぱいぶどう」ではないことだけは、強調しておきたいと思うのである・・・
タワーマンションを使った相続税の節税をめぐり、国税庁が行きすぎた節税策がないかチェックを厳しくするよう全国の国税局に指示したことがわかった。「著しく不適当」なケースは個別に評価し直す、という通達の規定があり、全てのタワーマンションの相続について適用するかどうか検討する考えだ。(朝日新聞デジタル)
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