2012年2月5日日曜日

Made in Japan

仕事で取引先の社長さんと話をしていた時の事だ。
日本経済の将来はどうなんだろうという話になった。
どうしても暗くなりがちな未来像だ。
しかし本当にそうなんだろうか。

社長さんからは、今元気な中国人がたくさん日本にやってきてお金を落としていくという話を聞いた。炊飯器をたくさん買っていくと言う。そう言えば、先日朱健榮先生からも同じような話を聞いた。海外旅行へ行けるほどではなくても、日本製の炊飯器を買えるほど豊かになった中間層の人たちが、日本へ行けるほど豊かな富裕層(1,000万人いるそうである)の人たちに好みの炊飯器を指定して買ってきてもらうらしい。そんな中国人観光客は、「日本製か?」と何度も念押しして炊飯器を買っていくという。彼らにとって、“Made in Japan”は何よりのブランドなのだろう。

それは何も中国人に限ったわけではない。昨年妻はノートパソコンを買った。その時の最後の決め手は、“Made in Japan”だ。東芝や日立と言っても、Made in ChainaやThailandというものが珍しくないが、あえて“Made in Japan”を売り物にしていた。パソコンなんて、どれも「インテル入ってる」で同じだと思うが、それでも妻からすれば、安いレノボよりも“Made in Japan”のFMVだったわけだ。そこに何か鍵がありそうな気がする。

今は少しでも安くとみんな海外へ工場を移転させている。かつてアメリカも同じように日本に敗れた後、海外へ工場を移し、その後金融とITでその穴を埋めている。敵対していた日本企業に投資する側にまわり、今では投資家として利益を吸収している。日本の株式市場の主役は、今や外国人投資家だ。日本も同じ道を辿るだろうと言う人もいれば、辿るべきという人もいる。昨日もそんな意見を一つ聞いた。

しかし、アメリカにはなくて日本にあるもの。それが“Made in Japan”だ。
アメリカと同じ道を行かなくても、このブランドを活かせる道があるような気がする。
もちろん、何でもかんでも“Made in Japan”で通用するというわけではないだろう。
鳴り物入りで登場したシャープの亀山工場も、液晶パネルで大苦戦したわけだし、実際のところ性能面でどれほど違いがあるのかはわからない。ただ、中国人が「日本製」に拘って炊飯器を買う話には、目を向けるべき何かがある気がする。

性能ではトヨタや日産の車の方が上かもしれないのに、イタリア車は日本車より0一つよけいにつけて売れる。フェラーリのブランドの前に“Made in Japan”は通用しないが、中国人にとっての炊飯器や妻のような素人にとってのパソコンには通用する。そういう分野がまだまだあるような気がする。

かつて天下を誇ったソニーは大赤字を計上し、メーカーは揃って円高をなげき、政府の円高無策をメディアを使って訴える。コストダウンのために海外へ工場を移す事ばかりしていて、本当に良いのだろうかという気がする。せっかくの“Made in Japan”が泣いている気がする。

かつて一世を風靡した“Made in Japan”だが、為替レートの差だけがその繁栄の理由ではない。性能的にはライバルも台頭してきているのだろうが、円高と人件費の安さだけで剥がれ落ちるメッキだったのだろうか。製造業の立場にはいないからわからないが、素人的には“Made in Japan”の復活を強く願うところである・・・



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