「今の喫茶店はすっかり待ち合わせ場所になっちゃいましたねぇ」と部長さんが呟く・・・
「昔はねぇ、美人喫茶っていうのがあってね、よく銀座なんかの美人喫茶に行ったものですよ」と嬉しそうに語ってくれた。
美人喫茶ってどんなところだったのだろう。
世代の違う私には知りようがないが、その名の通り美人のウェートレスが働いていたのだろう。もう還暦も近い部長さんだが、その昔若かりし頃、ウキウキとそんなところへ出かけて行ったのだろう。
そう言えば、昔、大学のラグビー部の同期が「アンナ・ミラーズ」を絶賛していた事を思い出した。店員さんのミニスカートが、何とも言えないチェーン店だ。
きっとあんな感覚だったのかもしれない。
行ってみたかったな。
「行きつけの店があってね、行くといつも私の大好きなシャンソンをかけてくれましてね・・・」
それとは別に、行きつけの喫茶店があったらしい。
いつものコーヒーを飲みながら、大好きなシャンソンを聞いては至福の一時を過ごしていたという。そんな喫茶店、私にはないな。
喫茶店と言えば、今ではあちこちチェーン店ばかりである。
ドトールなんかは値段は安いが、あまりコーヒーをゆっくり飲んで、なんてくつろげる雰囲気はない。ちょっとした空き時間に、ちょっと寄ってコーヒーを飲むという感じだ。
コーヒーを飲むというよりも、時間つぶしなどのような目的が主だろう。
通いたくなるような喫茶店ではない。
そう言えば歌声喫茶なるものも聞いた事がある。
なんでもみんなで歌を歌っていたらしい。
さらに、今もたまに見かける「純喫茶」というのは、その昔風俗系の営業をしていた喫茶店との間に一線を画す意味で「純」といったらしい。
昔はいろいろあったようである。
高校の時には近所に行きつけの喫茶店があった。
「アイビー」という名前で、年取ったおじちゃんとおばちゃんが夫婦でやっている店だった。
ラグビーの練習帰りに寄って、ナポリタンをよく食べたものだ。
たばこを吸っていても、高校には通報しないでくれる良心的(?)な店だった。
大学の時も渋い喫茶店がいくつかあったが、行きつけというほど通った覚えはない。
今は、ないなぁ。
我が家族は、コメダコーヒーによく行く。
まあコーヒー目当てというよりも、シロノワールというパンケーキ目当てなのだが、食いしん坊の我が家族のような人種にはそんな利用目的もある。
子供が生まれる前は、妻と二人で近所の喫茶店に行った事がある。
ただ妻の目的は、コーヒーというよりもケーキだったりかき氷だった。
喫茶店もコーヒーだけでは厳しいのかもしれない。
でもやっぱり、静かな店内で大好きなコーヒーを飲みながらのんびり本でも読むというのが、私にとっては理想的な喫茶店の利用方法だ。今はまだ子供も小さいからなかなか難しいが、そのうちもう少し自由な時間が増えたら、休みの日には、本を持って喫茶店にコーヒーを飲みに行くという習慣ができているかもしれない。そうして至福の一時を過ごす自分を想像してみると、悪くはない未来だ。
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