「あの時ああしていれば」と言う代わりに、
「この次はこうしよう」と言う事だ
スマイリー・ブラントン(精神科医)
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「もしも人生をやり直せるとしたら、いくつの時からにしたいですか?」
同僚K氏にこんな質問をされた。K氏は小学校4年生だという。
その時の写真を見ると、自分で見ても「良い顔」をしているらしい。
本当に楽しかったというのである。
「高校生かな」と私は答えた。
私はこういう空想めいた事を考えるのがけっこう好きである。
「あの時のあの失敗をやり直せたら、自分の人生は今よりも遥かに充実していたに違いない」と真剣に思うし、できるならそうしたいと心から思う。
小学校4年と言えば、今の長女とほぼ同じ年。
クラスメートの女の子に恋心を抱き、卒業したばかりの新卒の担任の女性教師にもほのかに憧れていた頃だ。ただもう一度戻りたいとまでは思わないなぁ・・・
小中学生の頃だってもちろん楽しい毎日だった。
近所の少年野球のチームに所属して、週末は練習や試合に明け暮れていた。
自転車飛ばして公園やら友達の家やら遊びまわっていた。
でもまだ自分に自信がなかった頃でもあり、喧嘩になっても殴られっぱなしだったし、つっぱりグループとは目を合わせないようにしていた頃でもある。
今となればあの頃に戻って喧嘩しても勝てると思うから、リベンジしに行くという考えもあるが、そんなのも後ろ向きでひねくれた考え方だ。
ほぼ咄嗟に答えたとは言え、「高校生」というのもよくよく考えてみてもやっぱりその通りである。中学生までの厳しい校則がゆるゆるになって、自由な気分が味わえたし、アルバイトもできて親にこずかいももらわなくなったから、ちょっとばかり大人になった気もしていた。つっぱりグループとも無縁になったし、初めて女の子とデートもしたし、勉強ですら面白いと思うようになっていた。衝動的に始めたラグビーであったが、こんなに面白いスポーツに巡り合えた幸運を今でもありがたいと思う。
特に悔いなどはないから、改めてやり直したいかと言われれば難しい気もする。
ただ、ラグビーの試合は連戦連敗だったから、せめて何試合かは勝てるようにできるかもしれないとは思う。だが、高校生に戻ると暗い受験生時代をもう一度体験しないといけなくなる。
浪人中は、家に籠って一日10時間、一週間で62時間の勉強を自分に課し、363日毎日勉強しようと決めて机に向かった生活は、やれと言われてももう無理かもしれない。
そうすると、やっぱりやり直すとすると大学に合格した日からかなあ・・・
楽しかった時代に戻りたいと思う一方で、何か悔いがあったりすると、そこからやり直したいと思う気持ちもあるかもしれない。たぶん、誰にでもそんな場面はいくつもあるだろう。東電の社長なんか3月10日以前(あるいはもっと前)に戻りたいと思っているかもしれない。そんな後悔を、みんなそっと胸に秘めて今を生きているのだろう。
就職・結婚とその時はベストだと思った選択も、今となってはやり直したいものばかりだ。
だが、結婚などはもしも違う選択をしていたら、今の子供たちとは出会えなかったわけである。そうすると複雑な心境だ。それだけはどうにも耐えられない気がする。
結局、様々な選択の結果が今日の自分なわけで、いろいろと悔いもあるが他の選択肢というのも考え難いものがある。結局戻ってやり直しても、またそこから別の後悔が生まれるものなのかもしれない。楽しかった時代に戻るのも、悔いある過去をやり直すのも、空想の中でしかできない事。やっぱり今を悔いなく生きたいし、明日も希望を持って迎えたい。
いろいろ大変な事が多い今も、いつかは懐かしく振り返れるようになると信じて、明日も頑張ろうと思うのである・・・
【本日の読書】
「民の見えざる手」大前健一
「春秋山伏記」藤沢周平
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