義祖母の葬儀に出掛ける朝の事、出発間際で5歳の長男がぐずぐず言いだした。
何が不満なのかよくわからないが、このところ時々こうしたわけのわからないぐずりが出る。
怒っても最近はあまり効果がない。
それどころか、逆ギレしてこちらを叩いてきた。
こうなるとこちらも実力行使に出るしかない。
というわけで頬を叩いた。
私は自分より明らかに体格の劣る者に対しては、当然の事ながら手をあげるという事はない。
どんなに頭に来てもそこらへんは冷静だ。
だが子供に対しては、「しつけ」という意味もあるからそうも言っていられない。
長女に対しては、過去9年間で一度だけ引っ叩いたが、長男に対してはもうすでに何回かある。
こういう時は頬を張る事が多い。
お尻を叩くという考えもあるが、やっぱりインパクトが違うだろうと思うのだ。
とはいえそこは加減も必要。
利き腕の右手ではなく、いつも左手にしている。
しかも叩いた腕を振り抜いたりなどしたら、ひっくり返って頭を打ったなどとなったら大変。
だから振りあげる事はせず、近距離からぺちっという感じだ。
今回は長男が動いたせいもあって少し手元がずれた。
私の指が長男の鼻をかすめたのだが、そのため鼻血が出てしまった。
妻が「何感情的になってんのよっ!」と烈火の如くどなり散らしてきたが、感情的になっていたのは妻だけで、私は極めて冷静だった。
それに妻が怒ったのは長男に鼻血を出させた為というよりは、むしろそれによってお出かけ用のシャツとずぼんが血だらけになった為なのだ。
まあ手応えからして大したことではないとわかっていたし、ただの鼻血だからどうって事はないと私は気にもしなかった。それよりも「ぐずぐず言うと親父に引っ叩かれる」という印象を子供に与える事の方が大切だ。
よく子供とは友達感覚で、なんて事を耳にするが、やっぱり親子は親子だ。
振り回すつもりはないが、「親父の権威」というものも必要だろう。
そう言えば私は子供の頃親に引っ叩かれたという記憶があまりない。
もう忘れてしまっただけなのかもしれないが、それも悪い事ではない。
ただやっぱり人間何でも思い通りになるとなれば人格は歪む。
それが子供となればよけいにそうである。
これを越えたら親父に殴られると思えば、それは自制心を養う事にもなるだろう。
「親父は普段おとなしいけど怒らせると怖かったな」
大人になって子供たちがそう思い返してくれたら本望だ。
まだ鍛えているし、高校生くらいまでならまだ力で抑えられるだろうし、怖い親父でいられるだろう。とは言うものの、子供たちに我が家で一番怖いのはと尋ねたら、たぶんママと答えるのだろう。
それには私もしかたなく一票を投じざるを得ないのである・・・
【本日の読書】
「ちっちゃいけど世界一誇りにしたい会社」坂本光司
「眠れぬ真珠」石田衣良
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