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現在仲良く入院しているわが両親。先週はドタバタであったが、その発端は私がかけた電話。お正月から「具合が悪い」と聞いていたものの、その後どうなのか聞こうと思ったのだ。「いっそうよくない」というのがその答えだった。
かかりつけの医師に診てもらっているが、原因はいまだわからない。自分で不安になり大学病院に行ったところ、総合案内で(言い方が悪かったのだろう)「紹介状をもらってくるように」と言われてすごすごと帰ってきたらしい。まるっきり初診の振りしていけばよかったものの、正直に要領悪く話し過ぎたのであろう。そう聞いて、「しらばっくれて初診に並べば良い」とアドバイスしたが、思い直して私がかかりつけ医のところに紹介状をもらいに行く事にした。
初めは母も、「今後も長く付き合うつもりのかかりつけ医だから機嫌を損ねたくない」と躊躇していた。しかし、やはり初診で飛び込むよりは紹介状を持っていった方が良い。それまでの治療の経過がわかれば同じ検査を何度もする必要もない。素人的にもそんな風に思えた。そこで「うまくやるから大丈夫」と説得した。
大事なのは母とかかりつけ医の関係を壊さぬように紹介状をもらう事。最悪、私が悪者になって「気の進まない母親」を「息子が強引に大きな病院へ連れて行った」という構図にしてしまえばよい、と腹を括って出かけて行った。私も日頃から、仕事柄鍛えられた「交渉術もどき」がある。何となく何とかなるだろうと考えていた。
かかりつけの医師は私よりも少し若い感じ。始めに「病状と先生の考えを教えてほしい」と切り出した。そうしたところ丁寧に教えてくれた。どんな検査をしているのか、これから更にどんな検査をするつもりか、それによってはどうするか等々・・・
そうしてその先生もある特定分野では専門外なので、そこは近くの大学病院で診てもらう他はない、その時は紹介状を書くと説明してくれた。そこで私は、「なるべく早く原因を知りたいので、並行して診てもらいたいがどうだろうか」と申し出た。先生はすぐに「では今紹介状を書きましょう」と言ってくれた。
医者にとってみれば「自分では手に負えない」症状は嫌であろう。かと言って「自分にはできない」とは言い辛い。こちらの申し出は、ひょっとしたら「渡りに船」だったかもしれない。結果的には先生の顔を潰す事なく、喧嘩する事もなく、気持ちよく紹介状を書いてもらえた。なんとか悪者にはならずに済んだようだ。
「相手の話を聞きながら、自分のメリットにつながる共通点を見出して、相手の顔を立てながら自分の動いてほしい方向に動いてもらう」
実は普段そんな話し合いをするケースが度々ある。弟などは喧嘩してでももらってくれば、という考え方をするが、相手にだってプライドや立場や考えなどがある。そんなものを尊重しながらうまくやる方法は常にどこかにあるはずなのだと思う。
家に帰って紹介状を母親に見せながら、「まあこのくらいはわけない」と大げさに戦果を強調したのは言うまでもない。最近は親から不満をぶつけられる事の多い不肖の長男であるが、今回は面目躍如となった。こんな時でもなければ、失地回復といかないところが嘆かわしいが、まあこの機会にせいぜい点数を稼いでおきたいと思うのである・・・
【昨日の読書】
「クルマは家電量販店で買え!」吉本佳生
「闇の系譜-ヤクザ資本主義の主役たち」有森隆+グループK
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