2009年1月7日水曜日

中東情勢に思うこと

 停戦協定が終わった途端に火を噴いたパレスチナ問題。
連日の空爆に続けてついにイスラエル軍の地上部隊がガザ地区に投入された。和平に進むのかと思いきや、また後戻りするようだ。

 イラクに侵攻した米軍と南オセチアに侵攻したグルジアはいずれも勝手な自国の利益のためだったが、イスラエルの侵攻は止むにやまれぬ自衛のため。少々事情が異なる。

 旧約聖書の時代に国を滅ぼされて流浪の民となったユダヤ民族。
流浪の知恵から経済力をつけたが、逆に世界中の嫌われ者となる。
まるですべてのユダヤ人が、借金のかたに胸の肉1ポンドを要求したベニスの商人シャイロックのごとく思われる。

あげくにナチス政権下でのホロコースト。
ようやく2,000年の時を経て先祖の土地に国を作ったと思ったら、建国の翌日から周囲のアラブ陣営から宣戦布告されて戦争の日々。

 東南北をすべてイスラエルを敵視するアラブ国に囲まれ(西は地中海だ)、それでも4回にわたる中東戦争をすべて勝って独立を維持。
南のエジプト、東のヨルダンとは和解し、次第に平和へと向うが北にシリアおよびヒズボラの巣食うレバノンがあり、国内にはイスラエル殲滅を掲げるハマスが牛耳るガザを抱える・・・

自爆テロは日常茶飯事。
イスラエルには一時の休息もない。
無差別にロケット弾を打ち込まれれば、反撃もやむを得ないだろう。

 一方のバレスチナ人も、もともとはユダヤ人のいない間先祖代々パレスチナに住んでいた人々だ。それが勝手に国を作られ追い出されて難民となればイスラエル憎しとなるのも当然。国をもたない彼らの代表がハマスでありファタハである。

 今回イスラエルはハマスの幹部自宅をピンポイント空爆した。その幹部は家族もろとも自宅で殺された。子供も、である。幹部殺害によりある程度の効果はあるのかもしれないが、子供まで巻き込むやり方は逆に怨嗟の炎を呼ぶのではないか。市民の中に紛れ込むハマスのやり方も市民に犠牲者を増やす原因となっている。

 業を煮やした攻撃であろうが、犠牲者はまた一方で新たなハマスを増やす事にもなる。例えば自分であったら家族を殺されようものなら一生相手を許さないし、残されたのが自分一人であれば残りの生涯を復讐に費やすだろう。そう思うのは誰でも同じだろう。

 強大な軍事力も、対国家であれば有効だろうが、テロを抑えられないのはイラクで米軍が証明している。どこかで憎しみの連鎖を断ち切らなければならないが、断ち切るのは困難だ。双方それぞれにもっともな言い分があり、いずれかを非難する事は難しい。時をかけて解決するしかないのだろうか・・・

 そんなニュースを気にしている素振りの人は周りにいないし、他人事で良かったと思うのは他ならぬ自分自身だ。何かできる事はないだろうかと思わない事もないが、中東はあまりにも遠く、憎しみはあまりにも深く、そして自分はあまりにも無力だ。

 帰ってくれば当たり前のように家族が迎えてくれる生活。
家を離れるたびに家族の無事を祈らなくてもよい生活。
このありがたみをどれだけの日本人が感じているだろう。
せめてその幸せだけでもしっかりと味わいたいと思うのである・・・


  

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